「おはようございます」

「おはよーございます」

まだちょっと眠くて頭がふわふわしているけど、あたたかい腕の中で気持ち良く目覚めることが出来た。
暖房が効いているので、掛け布団を剥がれても、寒っとはならずに済むのだから、前の生活とは大違いだ。
ここに来るまでは朝布団から出るのがつらくて仕方がなかった。

「先にシャワーを浴びてきて下さい。朝食の用意をしてきます」

赤屍さんに抱っこされて脱衣所まで運ばれる。素直にパジャマを脱いで洗濯カゴに入れ、浴室へ。
温かいシャワーを浴びると、大分頭もからだもしゃっきりしてきた。
バスローブを着て部屋に戻れば、既にワードローブの中から今日の気候に適した組み合わせの上下がハンガーに掛けられていて、ありがたく思いながらそれに着替える。

「ご飯出来ていますよ」

ダイニングテーブルに並んだ朝食のメニューに顔をほころばせて椅子に腰を降ろした。
いただきますと挨拶をして食べ始める。

「今日も美味しいです」

幸せな気分に浸りながら、チーズオムレツをもぐもぐごっくん。
デザートの桜のジュレ&ムースまで残さず全部たいらげて、ごちそうさまでした。

「山火事はどうやら鎮火出来そうですね」

「本当ですか?良かった」

今朝のニュースについて話しながらのんびりと食後の紅茶をいただく。
赤屍さんと一緒に暮らしはじめるまでは、こんな風に余裕を持って朝の時間を過ごすことなど考えられなかった。
思えば毎日慌ただしく支度をして飛び出していた気がする。

「そろそろ出ましょうか」

「はーい」

歯磨きを終えた私を、車のキーを手にした赤屍さんが待っていた。

「お弁当は持ちましたね?」

「バッチリです」

「では行きましょう」

バッグを持って一緒に駐車場へ向かう。

エレベーターの中で赤屍さんにぎゅっと抱きついたまま下まで降りた。

車に乗り込み、エンジンをかける音を聞きながら、あくびをひとつ。

「すみませんでしたね。貴女があまりにも可愛らしいので、昨日は激しくしすぎてしまいました」

「最後のほう、気を失ってた気がします」

「お陰ですっきりしましたよ」

「今日は優しくして下さいね」

「善処します」

あっという間に職場に着いてしまった。

「行ってらっしゃい。気を付けて」

「行ってきます」

赤屍さんと行ってきますのキスを交わして、車から降りる。

赤屍さんに手を振り、建物の中に入ると、頭はもう仕事モードに切り替わっていた。

こうして私の月曜日は始まるのだった。


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