全国各地から審神者を集めての定例会。
随分中途半端な時間に終わったなというのが感想だった。
この時間に帰るのは学生時代以来ではないだろうか。
もっと遅くまでかかるものだと思っていたから拍子抜けだ。

何度か顔を合わせる内に仲良くなった審神者仲間から、これから食事に行かないかと誘われたのを丁寧に断って廊下を歩いていたら、壁に背を凭れて腕組みしている見慣れた姿を見つけて驚いた。

「長谷部?」

「お疲れさまでした、主」

壁から離れてすっと姿勢を正した長谷部が私に向かって頭を垂れる。
食事に誘ってくれた審神者仲間が意味ありげな視線を私に送って通り過ぎて行った。
いやいや、違うから!
長谷部が待ってるなんて私も知らなかったから!

「どうして……」

「こんのすけを通して許可を頂きました」

ごくさりげない動作で、長谷部が私が持っていた資料鞄を受け取る。
そうして、私に慈しむような笑みを向けた。

「本丸へお帰りになるまでの護衛役としてお迎えに上がりました。さあ、帰りましょう、主」

「う、うん。ありがとう」

まだ戸惑っている私をエスコートするように長谷部が歩き出す。
こうして並んで歩くと、彼との身長差や体格差がよくわかり、何だかきゅんとしてしまう。
私は、彼がどんなに逞しいかもよく知っていた。
──寝所でどれほど情熱的であるのかも。

「長谷部」

長谷部の空いているほうの手に自分の手を滑り込ませる。
長谷部はすぐに握り返してくれた。

「こうしていると」

「はい。俺も同じことを考えていました」

長谷部も同じ気持ちでいてくれることが嬉しい。

時空間移動のための転移装置がある場所に向かうまでの、ほんの短い間だけのデートだった。


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