ある日突然、あなたに12人もの兄ができたらどうしますか?

それも……とびっきり格好よくて
とびっきりチートで
とびっきり優しい。
しかも、そのうえ……
兄達はみんなみんな、とびっきり!
あなたのコトが大好きなんです……


  *  *


「なあ、今日一緒に寝てやろうか」

寝る準備を終えてリビングでテレビを見ていたら、お風呂上がりの百之助お兄ちゃんがそんなことを言って来た。

「ちょ、お兄ちゃん、服着て!」

「いいカラダだろ?触ってもいいんだぜ」

「触らないし触らせない!」

「チッ…勘のいい女だな」

やっぱり。
百之助お兄ちゃんのことだから、触ったらお前も触らせろと言って来るに違いないと思ったらその通りだったようだ。

「お兄ちゃんのスケベ!」

「可愛い妹と遊んでやってるんだよ。喜べよ」

妹と言うが、私達に血の繋がりはない。
複雑な事情によって兄妹を名乗っているだけだ。
それでも、兄達は彼らなりに私を可愛がってくれているのだった。

百之助お兄ちゃんは実際いいカラダをしている。
元自衛隊だからなのだけど、紆余曲折あっていまは土方組で歳三お兄ちゃんの用心棒をしているのだそうだ。

「ほら。これはお前のだ」

「えっ、んんっ!?」

お兄ちゃんの逞しい腕が伸びてきたと思ったら、その厚い胸板にいきなりぎゅむっと顔を押し付けられる。

「んー、んーっ!」

苦しくてじたばたしていたら、キッチンにいた零お兄ちゃんが飛んで来て引き離してくれた。

「おいおい、兄妹の触れ合いを邪魔するなよ」

「まったく、お前は…!」

零お兄ちゃんは着けていたエプロンをバシッとソファの背もたれに叩きつけると、百之助お兄ちゃんに詰め寄った。

「自衛隊に戻れ、尾形。一度はこの国を守ろうとしたお前が、何故ヤクザ紛いの用心棒なんかやっているんだ」

「品行方正な兄上殿にはわからんさ。俺はやりたいようにやらせてもらう」

「尾形!」

「話は終わりだ。じゃあな」

「きゃっ!」

百之助お兄ちゃんに抱き上げられて寝室に連れて行かれる。

「な、なに?」

「一緒に寝てやると言っただろ」

「いいよ!一人で寝られるからッ」

「遠慮するな」

ベッドに降ろされ、すぐに百之助お兄ちゃんも入って来る。
お兄ちゃんの腕の中に収められるのと同時に上から毛布と布団を掛けられた。

「お兄ちゃん…んっ」

「しー…静かにしろ」

何度もキスをしてくるお兄ちゃんに抗議しようとするが、すぐに唇で言葉を封じられてしまう。
私の脇腹のあたりを撫でていたお兄ちゃんの手が、少しずつ上がっきて……

「尾形百之助!!」

「チッ」

バァン!とドアを開けて飛び込んできた零お兄ちゃんによって、貞操の危機は回避されたのだった。


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