外は風雨が酷く、荒れ模様のようだ。
だが、そんなことよりも自分の今の状況のほうが問題だった。

目は覚めているのに身体が動かせない。
どこもかしこも重く気怠いが、特に下半身が酷い。

今はいったい何時なんだろう。
時計が見えないから時間がわからない。
ただ、何となくお昼ぐらいではないかという気がした。

「動けませんよ。そういう抱き方をしましたから」

酷いです、と抗議をしようとしてゾッとした。
赤屍の顔にいつもの微笑が無かったからだ。
これはマジだ。
本気でヤバい。

「貴女が浮気なんてするからいけないんですよ」

う、浮気…?

「メルマガが配信された後、私以外の男の票が増えていたでしょう。特に、あの常闇の鬼神の票が」

あれは単なるアンケートであって浮気なんかじゃないんです!、と叫びたかったが、恐怖のせいか昨夜の影響か、声すら出せない。

「私にとっては同じことですよ」

心を読んだように赤屍が言った。

その彼は。
さっきからベッドサイドで何か作業をしている。
水を注ぐ音。それから、刷毛のようなものでシャカシャカと何かをかき混ぜているらしき音がして、ふわっと石鹸の香りが漂った。
なに…?なにをしてるんだろう?
風船が膨らんでいくように徐々に不安が大きくなっていく。

赤屍が振り返って微笑んだ。

「二度と浮気なんて考えられない身体にしてあげますよ」


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