互いの利益が一致したため、骸と組む事にしたヴェルデは、骸のアジトである黒曜ランドに一時的に身を寄せていた。
自分の素晴らしい技術によって生み出されたもの達はこんなみすぼらしい廃墟には相応しくないと思う気持ちがなくもなかったが、それはあくまでも己の頭脳と発明へのプライドから来る不満だった。
設備の悪さはさして問題にはならない。
真の天才とは場所を選ばないものなのだ。

ただ、騒がしいガキどもにはうんざりさせられていた。
今日はそこにもう一人少女が加わっている。
沢田綱吉の双子の姉のなまえとやらが差し入れを持って訪れたのだ。

「MM、ビアンキに貰ったコラーゲンボール入れる?」

「コラーゲンですって!?入れて入れて!ちょっとアンタ達、こっちの鍋は私のだから触るんじゃないわよ!」

「うるへー!誰もお前なんかと一緒に食いたくないびょん!」

苛々しながらヴェルデは少女に歩み寄った。
本当なら偉そうに上から見下ろしてやりたいところだが、残念ながら今の身長ではそれはかなわない。

「リボーンに言われて敵状視察に来たのか?」

「てきじょうしさつ…ってなあに?」

少女が首を傾げる。

「敵の陣地に乗り込んで様子を探ることですよ」

骸が上半身を屈めるようにして彼女の耳に口を近づけて教えてやると、少女は尊敬の眼差しを彼に向けた。

「そうなんだ。骸は頭がよくて何でも知ってるね」

「俺も知ってたびょん!」

「犬ちゃんも賢いんだね。私も頑張ってお勉強しなきゃ」

毒気を抜かれて唖然としているヴェルデに、骸がクフフと笑う。

「僕のなまえさんはちょっとおバカな子なんです」

「……ちょっと?」



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