※アルトネリコのパロディ


レーヴァテイル。
それは《詩魔法》と呼ばれる特殊な魔法が使える種族のことである。
彼女達は初めは普通の人間の女児として生まれ、10代前半頃になるとレーヴァテイルになる素質があるかどうかが判明する。

なまえもまた、つい最近自分がその一人であると分かったばかりだった。
そして、不運な事に、判明したのとほぼ同時に《I.P.D.(インフェル・ピラ・ディペンデンス)》というレーヴァテイルのみが感染する恐ろしい伝染病に感染してしまったのだ。
病気の発症に伴う暴走によって危うく多くの人々を傷つけてしまうところだったが、偶然街に仕事で来ていたある運び屋によってその窮地を救われたなまえは、それからその男──赤屍蔵人と行動を共にしていた。

もう家には帰れない。
他に行く場所も受け入れてくれる人もいない。
この世で頼れるのは赤屍蔵人ただ一人だけだ。


「そ…そんな大きなモノを挿れるんですか…?」

初めて見るそのモノの大きさにギョッとして思わず身を退きかけたなまえを、赤屍の腕がやんわりと引き戻す。
体調を崩して弱った少女の身体は簡単に男の腕の中に収まった。

「延命剤を入れるのは初めてですか?」

赤屍が尋ねる。
なまえは青ざめた顔で弱々しく頷いた。
自分がレーヴァテイルだと判明したのはつい最近の事で、知識としては知っていても実際に経験するのは初めてだった。
赤屍の唇に浮かぶ微笑が深くなる。

「大丈夫ですよ。優しくします」

レーヴァテイルは身体のどこかにインストールポイントというものを持っている。
そして、三ヶ月に一度そこからクリスタル状の延命剤を挿入しなければ生きられない種族なのである。
生きるために必要不可欠な行為とは言え、延命剤の挿入には痛みを伴う。
ましてや初めてとなれば怯えるのは当然だった。

「…ッ!!」

素肌をするりと撫でられ、思わずビクッとしてしまう。

「よしよし…大丈夫、怖くありませんよ」

熱っぽい視線が肌の上を舐めるように移動していくのを感じて震えるなまえを、赤屍は優しい声で宥めた。
その指先が刺青に似た模様のある場所を探りあてる。

「…ここ、ですか」

それこそがなまえのインストールポイントだった。
レーヴァテイルという種族にとって、インストールポイントとはまさしく命を左右する場所に等しい。
だからこそ彼女達は心から信頼する相手にしか見せないのだという。
そもそもインストールポイントに限らず、10代の少女が他人に肌を見せる事に抵抗があるのは当然のことだと言えるだろう。

「そのままじっとしていて下さい」

クリスタルの先端が肌に触れた。
それはまるで体内に吸い込まれるようにしてずふずぶと内に沈んでいく。

「…っく、んッ…」

なまえは赤屍の黒衣にしがみついて襲いくる苦痛を堪えた。

「はあ…ぁ、ぁ、…あぅ……」

「もうすぐ全部挿入ります。もう少しだけ我慢して下さい」

可哀想に…と呟いた赤屍の声は優しく、甘い。
しかし、その唇は愉悦には満ちた微笑が浮かんでいた。

苦痛から逃れようとしてくねる柔らかな肢体。
苦しげな呼吸を繰り返す唇。
必死に縋りついてくる手。
そのすべてが赤屍には堪らなく淫靡で魅力的な光景として映っていたからである。

「良い子ですねぇ…ほら、全部挿入りましたよ、なまえさん」

完全にクリスタルを収めきり、苦痛から解放されてぐったりと弛緩したなまえの身体を抱きしめながら、赤屍は感極まったように甘やかな溜め息を漏らした。

なんて美しい。
この弱く儚く美しい生き物が堪らなく愛おしかった。
そして、そう感じるとともに、赤屍の胸には昏い独占欲が広がっていった。
まるで毒が染み込んで侵食していくように。



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