※どうぶ〇の森パロ 幼い頃、祖母からよく昔話を聞かされていた。 かつて人間と共存していた巨人族の話。 彼らは不可侵の領域に住み、人間に危害を加えない代わりに干渉もしないと決めていたそうだ。 だから、愚かな人間が人間同士の争いで生み出した怪物のせいで窮地に陥っても、助けずただ見守るだけだったと。 私はおとぎ話としてその話を聞いていたけれど、両親はおかしな話を子供に吹き込むのはやめてくれと度々注意していたらしい。 事実、干渉しないどころか、壁の外には人間を食い殺そうとつけ狙う巨人がウロウロしているのだ。 両親は幼い私を連れて一か八かの賭けに出た。 即ち、巨人に遭遇する危険をおかしてまで村を出て、他の村に移住したのだ。 暫くは平和な日々が続いた。 しかし、人生とは皮肉なものだ。 安全を求めて移住した先で、両親が相次いで病死してしまうなんて。 私には二つ選択肢があった。 このまま一人安全な村に残るか、それとも、たった一人の肉親であり、恐らくもう余命幾ばくもないだろう祖母に寄り添って壁に囲まれたあの村で暮らすか。 選んだのは後者だった。 「事情は聞いている。村までの安全は俺が保障しよう」 私を迎えに来てくれたのは、自警団の兵士長を務めているというリヴァイという名の男性だった。 「よ、よろしくお願いします…」 ちょっと声が震えてしまったのは、彼に狼の耳と尻尾があったからだ。 ウサギの私は本能的に恐怖を感じてしまったのだ。 しかし、「お前もお前の祖母も知っている」と言われて、私のウサギの耳がピクッと反応した。 「えっ」 「まだガキだったから覚えてねぇか。よく遊んでやったんだがな」 「ご、ごめんなさい」 「いや。気にするな。これから仲良くやっていけばいいだけだ」 「そうですね…よろしくお願いします!」 リヴァイさんは優しくて親切だった。 口は悪いけど、ぶっきらぼうなだけで優しいし、潔癖症みたいだけど、移動途中に巨人に遭遇した時には、自分が返り血で汚れるのも省みずに私を守ってくれた。 厳しいけれど部下想いで、兵長として部下の人達にも慕われているというのも頷ける話だ。 とても立派な人だと思う。 「…そうか、リヴァイがね」 進撃村の村長さんは、到着した私の話を聞いて、何故か笑いを堪えるような素振りをみせた。 村長さんは自警団の団長も兼任しているそうで、リヴァイさんにとっては上司に当たる人だ。 「いや、とにかく無事に到着して良かった。歓迎するよ。お帰り、ナナミ」 村長さんは笑って私を迎えてくれた。 何かあればすぐに対処出来るようにと、新しい家はリヴァイさんが自分の家の隣に建ててくれたし、来る前の不安は嘘のように消えていた。 「リヴァイさん、リヴァイさん、良かったら時々ご飯食べに来て下さいね」 「ああ、美味いもんを食わせて貰おうか」 「任せて下さい!」 リヴァイさんは「楽しみだ」と笑った。 こうして、進撃村での私の新しい生活が始まったのだった。 |