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記憶を取り戻し、偽りの学園生活に戻ったルルーシュ。

そうと意識して注意してみれば、今までは気付かなかった無数の監視カメラの存在が見えてくる。
廊下、教室、生徒会室、そして勿論クラブハウス内にも、ありとあらゆる場所にカメラは設置されていた。

(くっ…やはり、ここもか……!)

なまえの部屋を訪れたルルーシュは、怒りを表面に表さないよう努めながら、さりげなく周囲に視線を走らせた。
見慣れた室内。
年頃の少女らしい雰囲気の、いかにも居心地の良さそうな部屋のあちこちに隠しカメラの存在を感じて、心の中で激しく舌打ちする。

「座って待ってて。今お茶を淹れてくるから」

「ああ」

何も知らないなまえが部屋を出たのを機に、ルルーシュの眼光は更に鋭さを増した。
室内に仕掛けられたカメラは、ルルーシュが見つけただけでも4つ。
その内の一つが真っ直ぐベッドに向いていることを知ると、ルルーシュは激しい怒りに目の前が赤くなるのを感じた。
それはつまり、ベッドで就寝するなまえの寝姿や、着替えの一部始終までもが、本人の知らぬところで第三者に覗かれているということに他ならない。
しかも──知らなかったとはいえ、このベッドの上でルルーシュとなまえは何度も……

(なんということだ…!)

椅子に腰掛け、自らの膝においていたルルーシュの握り拳がワナワナと震えた。

(俺でさえ撮っていないというのにッ!!)

そう考え、いや待てよ、と思い直す。
それ以前の問題だ。
なまえのあんな姿やこんな姿を、自分以外の男に見られていたのだから。
万死に値する。
今すぐにでも一人残らず始末してやりたいところだが、まだ今は監視者達に手を出すわけにはいかない。

しかし、もし、それらの映像が録画されているようならば、出来るだけ早く奪い返したかった。
自分の意思で見せつけてやるのならともかく、こそこそと盗み見られているかと思うと腸が煮えくりかえりそうだ。

既にルルーシュの脳内では、録画映像を入手した後のそれの使い道が1056通り閃いていた。
そのうちの幾つかは、状況が許すならば今すぐ実行に移してしまいたい誘惑にかられるようなシロモノだったが、ぐっと堪えるしかない。

「ルルーシュ、お待たせ」

どうやって映像を取り戻すかシミュレートを開始したルルーシュのもとへ、紅茶とお菓子の皿を載せたトレイを持ったなまえが戻ってきた。
ルルーシュは笑みを浮かべて彼女を迎える。

「紅茶、ダージリンで良かった?」

「ああ、大丈夫だよ。有難う」

監視カメラの無機質な視線が向けられるなか、恋人達によるささやかなお茶会が始まった。



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