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「大丈夫か、なまえ」

「うん──あ、はい」

「普通に話していい。ここには俺達二人しかいないからな」

言いながら、ゼロ──ルルーシュは仮面を外した。
艶やかな黒髪が束縛から解放され、さらりと揺らめく。
アメジストの瞳が甘く細められるのを見たなまえは、ほっとしたように微笑んだ。
が、直ぐに周囲に視線を巡らせる。

「すっかり濡れちゃったね。早く乾かさないと風邪ひいちゃう」

「そうだな」

「あ、この囲炉裏まだ使えそう。えーと、何か火をつけるものは……」

戸棚を探り始めたなまえの背後で、ルルーシュは小屋の入口に鍵をかけた。
万が一を考えて、一つしかない窓にもカーテンを引く。
これでひとまずは安心だ。

背後に熱を感じ振り向けば、既になまえが火をおこしていた。

「直に座ると汚れるから、この上に座って」

「ああ」

色褪せた敷き布を木の床の上に敷き、NMFから持ち込んだ非常袋から毛布を取り出す。

「あ、でもこのまま座ったら濡れちゃうか…先に脱いだほうがいいよね」

こんな事で風邪をひくわけにもいかない。
一応お互いに背を向けた状態で、なまえとルルーシュは着ている服を脱いでいった。
まったく欠片も恥ずかしくないと言えば嘘になる。
しかし、微かに触れたルルーシュの肌が冷えきっているのを知ってしまった以上、放っておくわけにはいかない。
毛布で覆うようにしてぴたりと肌を寄せて座ると、ルルーシュの肩がほんの僅かに動いた。

「こうするのは嫌?」

「まさか」

ふっと笑ったルルーシュに抱き寄せられる。
ひんやりと冷たい身体は男にしては細く、肌も白くてなめらかではあったものの、やはり女性であるなまえとはまるで違う。
彼は紛れもなく男性なのだと感じてドキッとした。

「ただ、理性が保つかどうか怪しいな」

その言い方がおかしくて思わず笑ってしまう。
すると、ルルーシュは綺麗な柳眉をひそめてみせた。

「こら、笑うな」

「だって……きゃっ」

本気であることを示すつもりなのか、首筋にがぶりと噛みつかれる。
痛くはない。甘噛みだ。
尚もくすくす笑い続けるなまえを腕に抱き込み、ルルーシュは幾度となくその肌に唇を落としていく。
作戦の緊張感から解放されたせいでお互い少しハイになっているのかもしれないと思いながらも、触れ合う肌の感触や体温が心地よくて、二人は暫くそうしてじゃれあった。



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