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鬼は酒が好きだ。
ゆえに飲む機会があれば嬉々として飛び付く者が多い。
新年会などは絶好の機会だと言えるだろう。

閻魔大王主催の新年会は今年も大盛り上がりだった。
飲んで踊る者、飲んで絡む者、飲んで語らう者、様子は様々だったが、皆楽しんでいる。

「なまえさん、少し抜けませんか」

鬼灯にそっと耳打ちされて、酔いではなく頬が赤く染まった。
なまえは頷き、先に立ち上がった鬼灯の後を追った。
上手い具合に閻魔大王は孫自慢に夢中で二人の動きに気づいていない。

「酒は好きなんですがね。あまり騒がしいのはどうも」

人気のない縁側に二人並んで腰を下ろす。
鬼灯はそう言ったが、なまえを気遣っての言葉だとわかっている。
きっと少しペースが早くなりすぎているのに気づいて連れ出してくれたのだ。

「お酒お強いですよね、鬼灯様」

「鬼神ですからね」

それにしたって強すぎると思う。
まるで水でも飲むようにすいすい杯を空けていくのは見ていて気持ちが良い。
このひとでも酔うことがあるのだろうか、となまえは少し不思議に思った。

「改めて、今年もよろしくお願いします、なまえさん」

「こちらこそよろしくお願い致します、鬼灯様」

「今年はもっとググッと行くつもりですので覚悟して下さい」

鬼灯が大福を渡してきたので、なまえは笑ってそれを受け取った。

「はい!鬼灯様」


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