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衆合地獄に期間限定のプールがオープンした。
獄卒のお姉さま方の熱い要望に応える形で作られたのだそうだ。

地獄に四季はない。
年がら年中ほぼ気温が変わらない上に雨もあまり降らない。
私は慣れてきたが、地上の四季を少しでも感じたい、特に夏である今、地獄にも夏の娯楽を!ということらしい。

私はというと、お香さんに誘われてスタッフとしてプールサイドで働いている。
ちなみにスタッフも全員水着着用だ。

「こここそ本当の極楽、桃源郷だ!」

水着姿のお姉さま方を見て、両手を広げて感極まったように叫んだのは、遥々桃源郷から来た神獣様である。
何人か女性が振り返ったが、白澤様だとわかるとクスクス笑いながらまた泳ぎはじめた。

「こんにちは、白澤様。絶対いらっしゃると思っていました」

「もちろん来ないわけにはいかないさ!なまえちゃん、その水着可愛いね、凄くよく似合ってる」

「ありがとうございます」

「いや、本当、水着も中身も魅力的だよ」

こうして半裸の白澤様を改めて拝見すると、ほっそい。
くびれた腰なんて嫉妬してしまいそうなほどだ。
スタイルはいいしカッコいいのに、奇妙な柄の海パンのせいで残念なことになってしまっている。

「奇声を発する偶蹄類がいるのはここですか?」

「鬼灯様」

わお!私脱いだら凄いんですってやつですね!
海パン一丁の鬼灯様はめちゃくちゃ筋肉質なイイ身体をしていらっしゃる。
これは抱かれたい女子続出ですわ。
さっきから黄色い歓声が聞こえるのは気のせいではない。

「明らかに僕の時とは違う反応!」

「気のせいです」

「当たり前でしょう。一緒にするな」

お顔は似ていらっしゃるのに、この違い。
でも、そんなタイプが違うお二人が揃っているせいで周りからの視線を集めてしまっている。

「白澤様、鬼灯様、飲み物はいかがですか」

「では、日本酒で」

「カクテルあるかな?」

「ありますけど…お二人とも泳ぐ気はないんですね」

「私は日本酒片手になまえさんの水着姿を観賞します」

「僕はカクテル片手になまえちゃんの水着姿を観賞するよ」

「こんな時だけ意気投合しないで下さい」


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