「では、これでお願いします」 「はい鬼灯様。お預かりします」 既に記入してあった婚姻届を鬼灯が係の鬼に渡す。 「確認致しました。これでお二人はご夫婦です」 わっ、と歓声があがりパチパチと拍手が周りで巻き起こった。 「おめでとう、なまえ」 「あ、ありがとう」 「誕生日に入籍なんてめでたいな」 「ありがとうございます」 次々とかけられる祝福の言葉に、赤くなりながら応じる。 あまりに恥ずかしいので、夫となるひとの腕に縋りつくと、きゃーっと黄色い声が上がった。 当の本人はいささか呆れ顔だ。 「誕生日に入籍したいと言ったのは貴女でしょう」 「確かに言いましたけど…」 いつもの職場だから顔見知りばかりだし、みんなにこにこ顔でお祝いムードだし。 想像以上に恥ずかしい。 「この後は料亭を予約しています。そこで改めてお祝いをして、その後はしっぽりと」 「ほ、鬼灯様!」 「なんにせよ楽しみですね」 気のせいか、鬼灯の表情がいつもより優しく感じられる。 「お誕生日おめでとうございます、なまえさん。愛していますよ」 またもやあがる歓声。 その中には嫉妬の悲鳴も混ざっていたが。 「必ず幸せにします」 「今でも十分幸せですよ」 怖いくらいに。 同じ指輪が光る左手に指を絡めると、なまえは幸せそのものの笑顔を鬼灯に向けた。 今日は間違いなく最高の誕生日だ。 ───── HappyBirthday to you |