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ホグワーツの授業は、その殆どが城内の教室で行われる。
天候に左右される科目があるとすれば、天文学と魔法生物の飼育学ぐらいだろう。
箒の飛行訓練も屋外で行われるが、「あらゆる天候のもとで飛べるように」との教師の方針により、よほど酷い嵐でもない限り休講にはならない。
今日も横殴りの雨が叩きつけてる中、小さな一年生達が青い顔をして飛行訓練に向かう姿が見えた。

なまえはというと、魔法生物の飼育学の授業の真っ最中だ。
流石に森の中ではなく、北の塔と城を繋ぐ回廊に生徒達は身を寄せ合い、ケトルバーン先生が持って来た生き物をしげしげと眺めていた。
女の子の中には気持ち悪そうに目を背ける者もいたが、無理もない。
ソレは生肉の色をした、空き缶ほども太さのある、ナマコとミミズのあいの子ような生き物だった。
箱の中でグネグネと蠢き、粘膜の口を収縮させているソレを指差して、先生が生徒を見回す。

「さあ、餌をやってごらん。二人一組になって、特徴を羊皮紙に書いて提出すること。いいね?」

「はい、先生」

誰もが気乗りしない様子だったが、リドルだけは違っていた。
いやに熱心に観察しては、気になった点や発見した部分を羊皮紙にサラサラと綴っている。
なまえは何だか嫌な予感がした。
前にも似たような事があったからだ。
あの時は『悪魔の罠』の改良種で散々な目に遭わされたものだ。
そんななまえの不安を余所に、リドルはひとしきり生物を観察すると、納得したように呟いた。

「なるほど……まあ、毒性はないようだから大丈夫だろう」

何が!?
なまえはそう尋ねたい気持ちをぐっと抑えて、出来るだけ興味のないふりを装って、自分の羊皮紙に集中し続けた。
だが、そんな努力も虚しく、リドルは独り言めいた口調でさりげなく話しかけてくる。

「なまえ。確か、お前は吸われるのが好きだったな」

なまえは青ざめながら首をぶんぶん横に振った。

「嘘をつくな。胸を吸われながら突かれると、それはイイ声で鳴いて悶え──」

「しーっっ!!や、やめてったらっ!」

慌ててリドルの口を塞ぐなまえは、既に涙目になっていた。
なんてことを言い出すのか、と睨むが、リドルはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべている。

「素直じゃないな。『悪魔の罠』の時も嫌がっていたわりには気持ち良さそうにしていたが……」

「トム!!!!」

何事かと周りの視線が集まったのを見て、なまえはハッとして口をつぐんだ。
リドルはまだ笑っている。

「ねえ…トム、お願いだから……」

なまえはひそひそと声をひそめてリドルに懇願した。
潤んだ瞳を見てリドルが苦笑する。

「わかった、わかった。悪いようにはしないから安心しろ」

その夜、温室裏の飼育箱から、密かに魔法生物が一匹持ち去られた。
魔法“性”物として改造される為に。



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