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全寮制の学校であるホグワーツでは、当然の事ながら集団生活が基本となる。
授業然り、日常生活然りだ。
寮生は家族も同然。
文字通り寝食を共にする仲間である。

しかし、そんな生活の中で、ある程度の特権が認められている者達がいた。
監督生もその特権階級の一つだ。
そしてホグワーツの六階にはその監督生専用の浴室があった。

「それで」

浴室に充満している湿気のせいで湿ったプラチナブロンドを掻き上げながら、アブラクサス・マルフォイが言った。
彼が縁に背中を預けて座っているのは、プール程の大きさのある白い大理石の浴槽。
そのけぶるような色合いをした瞳の先では、リドルが甘ったるい香りのする泡を湯で流しているところだった。

「なまえは今夜も厨房に?」

「たぶんそうだろう。談話室を慌てて出て行くのが見えた。毎晩よくも飽きないものだ」

リドルのすらりとした引き締まった裸体の上を白い泡が流れ落ちていく様を、絵画の中の人魚がうっとりした顔つきで眺めている。

「可愛いじゃないか、健気で。君の為に勉強しているのだからね」

アブラクサスが含み笑う。
その時、はしゃいだ誰かが飛び込み台からジャンプしたらしく、派手な水飛沫が上がった。
たちまち涌き起こった笑い声と口笛にアブラクサスは冷ややかな眼差しを向けたが、リドルは興味を持つ様子もなく、既にタオルで身体を拭き終わって着替えも済ませていた。
そのまま浴室を出ようとして足を止め、友人を振り返る。

「羨ましいのはわかるが、手は出すなよ。味見も無しだ」

「…やれやれ」



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