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“三人でセックスすればこの部屋から出られる”


カードにそう印刷されているのを見て、思わず手から滑り落としそうになってしまった。

なんということだ。

こんな、こんな馬鹿げたことをさせたいがためにわざわざ私達を拉致して閉じ込めたのか。

ふつふつと怒りが湧いてくる。

こんなことのために安室さんを悩ませていたなんて、絶対に許せない。

「しましょう!」

「え」

「…なまえ」

安室さんは驚いた顔で私を見た。
赤井さんは私がそう言いだすのがわかっていたように苦い顔つきで私の名前を呼んだ。

「やりましょう。それでここから出られるのなら私は構いません」

言いなりになるのは悔しいが、一刻も早くここから脱出するためだ。
なるべく早く二人をここから出してあげたい。

「本当に解っているんですか?こんなことのために君は……」

安室さんが少し怒ったように言う。

「解っています。それは、お二人とも、私なんかが相手じゃご不満かもしれませんが、緊急事態なので我慢してもらうしか」

「そういうことじゃない」

安室さんがもどかしそうに首を横に振る。

「お前は本当にそれでいいのか」

苛立ちを露にする安室さんとは逆に、静かな声音で赤井さんが尋ねてくる。

「安室さんと赤井さんが相手なら平気です。他の人ならさすがにちょっと悩むと思いますけど」

彼らはこんな場所で時間を無駄にしていい人達ではない。
二人には大事な使命があるのだ。
一刻も早くここを出て、彼らが自分の使命を全う出来るようにしてあげること。
そのために、今私に出来ることをしてあげたいと切実に思った。

「本当に、僕に抱かれてもいいんですね?」

「はい」

「……わかりました。この男と三人で、というのは虫酸が走りますが、君がそういうのなら」

「据え膳食わぬは恥というからな。俺に異論はない。喜んでその提案を受けよう」

茶化して言っているけれど、赤井さんが私を見る目はとても優しかった。

こうして話はまとまったのだが、直ぐに始めることはしなかった。
先にシャワーを浴びさせてほしいと私が頼んだからだ。

そういうわけで、私は浴室でシャワーを浴び、徹底的に全身を洗っていた。
今まで他人に触れられたことのない場所は特に念入りに。

あまり待たせるのも申し訳ない気がして、なるべく手早く洗い終え、浴室を出る。

バスローブを手にしながら少し悩んだ末に、ブラジャーはせず、下だけ下着を穿いていくことにした。
タオルで水分を拭った身体にバスローブを身に付けて、深呼吸。

大丈夫、やれる。


「お待たせしました」

部屋に戻ると、二人はベッドに腰掛けて何やら話していたが、私を見て口を閉じた。

「最初は僕です」

安室さんが私の手をとって引き寄せながら言った。
どうやら順番を決めていたらしい。
えっ、同時にじゃないの?と不思議に思ったが、

「君の身体に負担になることはなるべく避けたい。三人でやる方法ならいくらでもありますから」

安室さんが疑問に答えてくれた。

引き寄せられ、ベッドの上に仰向けに寝かせられる。
途端にうるさく鳴りはじめる心臓の音。

緊張する私の上に安室さんが覆い被さってくる。

「あの……実は、初めてなので、その……」

「優しくします」


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