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私が住んでいる家は私だけの家ではない。
名義は私になっているが、家賃と光熱費は赤井さんと降谷さんが折半して支払っている。
はじめは食費も二人が折半することになっていたのだが、それくらいは払わせて欲しいと頼んだので私の担当となった。

間取りは4LDK。
各部屋は三人それぞれに一部屋ずつと寝室に分けられている。
料理はローテーション制で、降谷さんが担当の時は和洋折衷様々な料理が出て来るし、赤井さんの時は主に有希子さん仕込みの煮込み料理が出て来る。

意外だったのは赤井さんがゴミの分別を完璧に出来ていたことだ。
どうやら工藤邸に居候している間に有希子さんに叩き込まれたらしい。

そんなシェアハウスでの夜。

浴室から私を抱えて出てきた赤井さんは、バスタオルで身体の水分を拭き取ると、私にバスローブを着せて、自分は下着とスウェットのズボンだけを履いて再び私を抱き上げた。
そのまま寝室のベッドまで運ばれていく。

「大丈夫かい?」

待ち受けていた降谷さんがミネラルウォーターのペットボトルを渡してくれた。
お礼を言ってベッドに腰掛け、それをごくごくと飲んでいると、降谷さんが濡れた髪をドライヤーで乾かしてくれる。
汚れたシーツは既に清潔な新しいものに交換されていてベッドメイキングまで完璧に済んでいた。

「降谷くん、君もシャワーを浴びて来るといい」

「そうさせてもらいます。せっかく綺麗にしたんですから汚さないで下さいよ」

「わかっているさ」

ベッドのことなのか、それとも私のことなのか。降谷さんは赤井さんに念押ししてから寝室を出て行った。

「俺にも飲ませてくれないか」

赤井さんにペットボトルを渡そうとすると、そうじゃないと制される。
なので、私はミネラルウォーターを口に含んで赤井さんに口付けた。そうして口移しで水を飲ませてあげると、赤井さんは大きな手で頭を撫でてくれた。

「これ以上は降谷くんに怒られてしまうな」

苦笑した赤井さんに微笑み、私はドライヤーで赤井さんの髪を乾かし始めた。
癖のある髪をオールバックにするように撫で付けながら温風を当てる。

そこへシャワーを浴びた降谷さんが戻って来た。

「降谷さん、お水飲みますか?」

「君が飲ませてくれるのなら」

私は再度ミネラルウォーターを口に含んで降谷さんに口付けた。
水を流し込むと降谷さんの熱い舌が私の舌に絡みついてきて口腔をまさぐられる。

「おい、俺はそこまでしなかったぞ」

「彼女を洗う権利を譲ったんですから、これくらいはいいでしょう」

私はドライヤーを片手に持ち、降谷さんの手を引いて自分の隣に腰を降ろすよう促した。
そうしてベッドに座った降谷さんの髪をドライヤーで乾かしていく。

この寝室は禁煙ゾーンなので、煙草が吸えないから口寂しいのだろう。
赤井さんが何度もキスを仕掛けてくるので降谷さんに怒られていた。

「では、電気を消すぞ」

赤井さんが電気を消し、三人でベッドに横になる。
赤井さんが腕枕をしてくれて、降谷さんが布団を掛けてから私の身体に腕を回してくっついてきた。

「おやすみなさい」

「おやすみ、なまえ」

「おやすみ。良い夢を」

二人がそれぞれおやすみのキスをしてくれる。

赤井さんと降谷さんに挟まれて、二人のぬくもりを感じながら、私はそっと目を閉じた。

こうしてシェアハウスの夜は更けていく。


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