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その後は、改めて三人でした。
それがこの部屋を出る条件なのだから仕方ない。
安室さんは最後まで渋っていたけれど。

それぞれと一度したからか、もう慣れただろうと、二人とも少し遠慮がなくなっていたように思う。

四つん這いにされ、後ろから安室さんに突かれながら、口で赤井さんにご奉仕した。
二人が出したら、ポジションを交代して、もう一度。

何もかも初めての経験だった。

もつれ合い、絡み合っての三人での行為は、私が意識を飛ばしてしまうまで続けられた。


「good morning,Kitten」

甘く響く、耳に心地よい低音。
目が覚めて最初に飛び込んで来たのは赤井さんの精悍な顔だった。

「動けそうならシャワーを浴びて来るといい。それとも手伝いが必要かな?」

「だ、大丈夫です!」

フ、と笑われる。
元々ダンディーな人だが、いまはそこに甘さが加わっていて、とても直視出来ない。

「あの、安室さんは」

「安室くんなら、出口を調べている」

「あっ、出口、現れたんですね!」

「ああ。壁だった場所に扉が出来ていた」

「壁がスライドすることで出現する仕組みになっていたようです」

安室さんの声が続けた。
戻って来たようだ。

「なまえさん、身体は大丈夫ですか?」

「はい、なんとか。すみません、すぐシャワー浴びてきます」

「ゆっくりして構いませんよ。疲れているでしょう」

ベッドの縁に腰掛けた安室さんが優しく私の髪を梳く。
元から物腰が柔らかく、優しい人だったけれど、今はむしろ甘ったるいと言えるほどに甘やかしてくれるので、いたたまれない。

「無理をさせてしまいましたからね」

「お陰で、珍しいものが見られた。余裕がない安室くんの姿は貴重だぞ」

「そういうあなたこそ、あまり手加減が出来なかったようですが、やはり今まで相手にした女性達とは違いますか」

「それは無粋というものだ、安室くん。彼女は他の女性とは比べるべくもないさ」

目の前でバチバチと火花が散っている。ような気がする。

これでは、まるで。

「なまえさんは渡さない。絶対に」

「全く同じ台詞をそのまま返させてもらおう。なまえは俺のものにしてみせる。必ず、な」

「もう、ドアが開いたのに…?」

二人が揃って私を見た。

「やはり、わかっていなかったか」

「あれほど想いをこめて抱いたのに、伝わっていなかったんですか」

「えっ、えっ?」

「愛しています、なまえさん。FBIなどに君は渡さない。僕を選んでくれますよね?」

「愛している、なまえ。安室くんより、俺を選んでくれるだろう?」

「え…えっと…」

私は完全に混乱していた。

この部屋から出るために、仕方なく一時的な関係だったとばかり思っていたのに。

こんな展開は予想していなかった。

「あの、シャワー浴びてきますっ」

「なまえさん!」

「おい、なまえ」

とりあえず逃げ出すことにした。

温かいシャワーで濃厚な情事の痕を洗い流しながら、ここから出たあとどうしようと、そればかりを考えていた。

安室さんと、赤井さん。

どちらを選ぶのか。

そもそも私にそんな権利があるのだろうか。

答えは当分出そうにない。

ただわかっているのは、この二人からは絶対に逃げられないだろうなということだけだった。


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