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喫茶店ポアロでウェイターのバイトをしながら毛利探偵の助手を務める、私立探偵『安室透』

黒の組織の『バーボン』

そして、警察庁警備局警備企画課、公安のエース『降谷零』

零さんは三足のわらじを履いていることになる。
その全てに全力投球している彼の一日は忙しい。

「あれ?今から公安のお仕事ですか?」

スーツにネクタイを締めた零さんは、車のキーとスマホをポケットにしまいながら頷いた。
今日はランチタイムが終わるまでポアロでバイトして、さっき帰って来たばかりだったが、もう出掛けるらしい。

「ああ。帰りは遅くなるから、先に寝ていてくれ。いいね?」

「でも、」

「駄目だ。この前みたいに明け方まで起きて待っていたら、お仕置きだよ」

「うっ…」

釘を刺されてしまった。

「…わかりました」

「いい子だ」

頭を撫でられ、キスをされる。
何だかいいようにあしらわれている気がするが仕方ないかもしれない。
年齢差もあるし、何より相手はとんでもなく幅広い知識と情報収集能力を持った公安のエースだ。

「スーツ、素敵ですね」

そう口にすると、零さんが瞳を瞬く。それから口端を綺麗に吊り上げて笑んでみせた。

「惚れ直した?」

「はい」

素直に頷く。
スーツ姿の零さんはまだ見慣れていないせいか、新鮮に感じる。
いつもイケメンだが、今日は更に素敵だ。

「じゃあ、明日帰ってきたらこの格好のままセックスしようか」

「つ、疲れてるんじゃないですか?」

「俺を見くびってもらっては困るな。こう見えて体力には自信があるんだ」

「私、明日も学校が…」

「明日は三限目からだろう?大丈夫、充分間に合うさ」

零さんは妙に楽しそうに私の逃げ道を塞いでいく。
どうしよう。何かスイッチを押してしまったみたいだ。
零さんに抱かれるのが嫌だというわけではない。
ただ、その、激しいので、こちらの体力がもたないことが心配なのだ。
朝からセックスして、その後学校に行くなんて、考えただけで目眩がしそうだった。

「何を考えているか、手にとるようにわかるよ」

零さんは笑って私の頬を撫でた。

「君は本当に可愛いな」

「零さん…」

「このまま今すぐ食べてしまいたいけど、我慢しよう。帰ってからのお楽しみ、のほうが燃えるからね」

駄目だ。もう完全に食べられることが決定事項になっている。

「とりあえず、下ごしらえだけしていこうか」

「えっ」

髪を撫でた零さんに口付けられた。
最初は唇をついばむように、それから舌を入れてきて口の中を舐められる。
上顎のあたりをざらりと舐められて背筋がゾクゾクした。
角度を変えながら何度もねっとりと執拗にキスをされて、次第に身体から力が抜けていく。

「は、ぁ……ん…ちゅ…」

ようやく解放されたと思ったら、零さんは私の首筋に顔を埋めた。
ちゅっちゅと肌を吸われながら、身体のラインを撫でられる。

「帰ってから、って……」

「言っただろ、下ごしらえだって」

脚を撫で上げた手がスカートをずりあげて、下着越しに秘所を指でなぞられた。
ブラウスのボタンを上から幾つか外されて、開いたそこから片方の胸を引き出される。
そこに吸い付いた零さんの頭を押し離そうとしたが、びくともしない。

「零さ、……あんんっ!」

下着越しに割れ目を指で擦られながら胸をぢゅうぢゅうと強く吸われて、身体がビクビクと跳ねる。

力が抜けて座り込みそうになったのを支えられ、抱き上げられてソファに下ろされた。

「これでよし」

満足そうに笑って零さんが唇を舐める。

「帰って来るまでお預けだよ。大人しく寝て待っているように。一人で慰めたりしたらお仕置きだ」

「うう…ひどい…」

あんまりです、零さん。

「じゃあ、行って来る。いい子で待っているんだよ」

零さんは私にキスをして部屋を出て行った。
これからエレベーターで下に降り、駐車場に停めてあるRX-7に乗り込むのだろう。

一人残された私は、火がついた身体を持て余して彼の帰りを待ちわびるしかなかった。


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