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クリスマスも年末年始も仕事で毎日残業漬けだった社畜の私だが、明日は久しぶりの休日だ。
掃除、洗濯、買い出し、休みの間にやるべきことは多々あるけれど、とりあえずまずは泥のように眠りたい。

重い身体を引きずるようにして帰宅すると、無人のはずの室内に灯りがついていた。
鍵を取り出そうとしていたら、ドアが内側から開かれた。

「お帰り、なまえ」

「えっ、えっ、秀一さん?」

「合鍵で入らせてもらったが、驚かせてしまったようだな。すまない」

「あ、いえ大丈夫です」

残業続きで半ばバグったままの頭では、何とかそう返事をするのが精一杯だった。
秀一さんに腕を引かれてハグをされる。

「疲れただろう。シャワーを浴びて来るといい」

「は、はい」

「俺に気を遣う必要はない。ゆっくりしておいで」

優しく言われて頷く。
誰かに優しくされるのはいつぶりだろう。
涙が出そうだった。

言われた通り、今までの疲労と汚れを落とすためにいつもより少しだけ時間をかけてシャワーを浴びた私は、パジャマに着替えて部屋に戻った。
そこで気が付いた。
室内が綺麗なのだ。

「秀一さん、もしかしてお掃除してくれました?」

「ああ。掃除と洗濯をして、冷蔵庫が空に近かったから買い足しておいた」

「ご、ごめんなさい!せっかく訪ねて来て下さったのに、そんなことまでさせて」

「気にすることはないさ。俺が好きでやったことだ」

それよりも、と頬を手で包み込まれる。

「かわいそうに。こんなにやつれて。日本の企業は随分社員を酷使するんだな」

ああ、秀一さんの精悍な顔立ちがみるみる歪んでいく。
それは溢れ出た涙のせいだった。

「クリスマスも年末年始も休めなくて」

「ああ」

「秀一さんにも全然逢えなくて」

「そうだな。君は一生懸命頑張った。ベストを尽くしたんだ。誇りに思っていい」

秀一さんが優しく抱き締めてくれるものだから、しばらく涙が止まらなかった。

「たっぷり甘えてくれ。俺はそのために来たのだから。My Sweet」

私の彼氏がこんなにもスパダリ過ぎる。


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