「お誕生日おめでとうございます、なまえさん」 「ありがとうございます」 安室さんがシャンパンのグラスを掲げたので、私もグラスを軽くあげて乾杯した。 煌めくシャンパンゴールドの向こうに安室さんの端正な顔が見える。 安室さんに連れて来てもらったお店は、お洒落でとても雰囲気の良いレストランだった。 メディアでの掲載は数知れず。若い女性を中心に大人気のお店だ。 「よく予約取れましたね」 「ちょっとした魔法を使ったんです」 唇の前で人差し指を立ててウインクする安室さんは高級そうなスーツ姿で、いつもと雰囲気が違ってカッコいい。 もちろん普段からイケメンだけど、今日は大人の男性の魅力が増しているというか…とにかくドキドキしっぱなしだ。 お洒落なレストラン。 美しい夜景が見える、窓際の席。 美味しい料理とシャンパン。 そして、目の前には大好きな人。 これほど完璧なシチュエーションが他にあるだろうか。 「なまえさん、これを」 渡されたのは綺麗にラッピングされた細長い箱だった。 「プレゼントです。気に入って頂けるといいのですが」 「わあ、ありがとうございます!開けてみてもいいですか?」 「もちろん」 綺麗らラッピングをそっと剥がして中身を取り出す。 細長いケースの中には、蝶のモチーフのヘッドが付いた銀色に光るネックレスと、それに通された指輪が収められていた。 「安室さん、これ…」 「予約ということで」 冗談めかした言い方だけど、瞳は真っ直ぐ私を捉えていた。 ふと真剣な表情になって、安室さんは口を開いた。 「今はまだ言えませんが、いつかその時が来たら、必ず君にその言葉を捧げます」 「安室さん…」 「だから、それまで待っていて下さい」 「わかりました。約束ですよ」 「ええ、約束です」 左手の小指を差し出すと、安室さんはそこに自分の指を絡めてくれた。 指切り。 そうして、安室さんは私の手を口元に引き寄せて、薬指にキスをした。 「約束します。全てが終わったら、必ず……」 ───── HappyBirthday to you |