大晦日ギリギリまで働いて、ようやく獲得した二泊三日の休暇。 もちろん、組織の仕事も無しだ。 その貴重な休みを利用して、安室となまえは温泉宿を訪れていた。 「改めて、明けましておめでとうございます」 「今年もよろしくお願いします」 とお互いに挨拶を交わし、微笑みあう。 二人は既に浴衣へと着替えていた。 安室は白地に紺の縦縞模様、なまえは青に小花模様の浴衣。 「早速ですが、温泉に入りませんか」 「えっ、もう?」 「僕が脱がせてあげます」 「いえいえっ、そんなっ!」 思わず後退ると、端正な顔に微笑を浮かべた安室がゆっくりと距離を詰めてくる。 目がバーボンの時の目だ。 「僕から逃げられるとでも?」 「あ、安室さん、怖いです…!」 「怖くありませんよ。優しくします」 逃げ出そうにも逃げ場がない。 あっという間に捕まってしまった。 「さあ、なまえさん」 抱き上げられて、部屋に備え付けの露天風呂へと連れて行かれる。 脱衣所で唇や首筋にキスをされながら浴衣を脱がされ、なまえは不覚にもそのまま流されそうになってしまった。 危ない、危ない。 裸に剥いたなまえと自分にかけ湯をした後、なまえをお姫様抱っこしたまま安室は温泉に身を沈めた。 「気持ちいいですね」 ふう、と息をつく安室はたまらなくセクシーだ。 褐色の肌が濡れて輝いて見える。 なまえはごくりと喉を鳴らした。 「あの…安室さん…」 「はい」 「離してくれると嬉しいなあって…」 「駄目です。なまえさん、逃げるでしょう?」 離しません、とぎゅうぎゅう抱きしめられる。 「せっかくの正月休み、せっかくの温泉なんです。貴女と離れていたくない」 「…そうですね」 なまえは安室の身体に腕を回して抱きしめ返した。 「私も、安室さんと離れたくないです」 「それを聞いて安心しました」 艶然と微笑む安室の美貌を一筋汗が伝い落ちていく。 それを目にしたなまえの心臓がどくどくと激しく鼓動を響かせた。 「今日は一切手加減しませんから、覚悟して下さいね」 |