植物由来の原料にこだわっている化粧品のシリーズを使っている。 少々お値段は張るが、他の化粧品と比べて効果が段違いなので、お財布と相談しながら何とかやりくりをしている次第だ。 二十歳を過ぎてそれなりの年齢になると、それなりのお手入れが必要になってくるものなので。 「零さんが羨ましい」 「なんだ、突然」 「あんなストレスフルな環境にいたのに、お肌綺麗じゃないですか。女ならみんな憧れます」 「肌か、特に気にしたことはないけどな」 神様はこの男に何もかも与え過ぎです。 その分、大事な親友達を失ったりして相応の辛い思いもしてきた人だけど。 「そんなこと気にしなくてもなまえは可愛いよ」 「零さんに言われても信じられません」 「拗ねるなよ」 「拗ねてません」 「ほら、おいで」 零さんにひょいと抱き上げられて膝の上に乗せられる。 細身な見かけによらず彼は力持ちなのだ。 お互いに湯上がりなので、密着した身体が少し熱い。 零さんの明るい色の髪からはシャンプーの甘い香りがする。 「機嫌を直してくれないか、お姫様」 優しく優しく頭を撫でられ、ちゅっちゅと唇にキスをされる。 「もう、そんな風にされたら怒ってるのが馬鹿みたいじゃないですか」 「お前はよく頑張っているよ。仕事も、私生活でも。俺がちゃんと見てるから」 「零さん…」 「だから、もっと甘えていいんだ。遠慮なんかいらない」 「充分甘えてるつもりです」 「いや、まだまだだね。俺に尽くそうとしてくれるのは嬉しいけど、俺だってお前を甘やかしてやりたいんだよ」 「じゃあ、もっとキスして下さい。零さんにキスされるの大好きなんです」 「よし、素直ないい子だ」 甘いキスで蕩けさせられていると、パジャマの中に忍び込んでくる不埒な手が。 週のはじまりの月曜日で、今日もハードな職務を終えたばかりだというのに、どんな底無しの体力をしているんだ、と驚いてしまう。 いや、そんな場合じゃなかった。 「零さんっ」 「ん?ほら、口開けて。もっとしてやるから」 「明日も仕事なのでこれ以上は駄目です」 「今更だな。男は一度火がついたら止まらないんだよ」 「あ……ん、零さんだって仕事なのに」 「これは別腹」 「デザートみたいに言わないで下さい…」 「俺にとっては、これ以上ないご馳走だよ、お前は」 結局、翌日は私だけふらふらな状態で出勤する羽目になった。 零さんはというと、いつもより溌剌としていたくらいだ。 まったく、体力お化けなんだから…。 |