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「お帰りなさい、なまえさん。お疲れさまです」

「えっ、安室さん?」

「すみません。合鍵で入っちゃいました」

にこにこと笑顔で出迎えられて、少なからず困惑する。
確かに安室さんには合鍵を渡してあったのだが、私がいない間に部屋にいたのはこれが初めてだったからだ。

「先にシャワー浴びて来て下さい。その間に夕食の用意をしておきますから」

「あ、ありがとうございます」

これって、立場が逆じゃないだろうか。
いや、とても嬉しいのだけれども。
何しろ突然のことなので、戸惑いのほうが大きい。

ハミングをしながらキッチンで何やら作っている安室さんが気になったものの、私は言われた通りに着替えを手にバスルームに向かった。

シャワーを浴びるとほっとした。
知らない間に疲労が溜まっていたようだ。
そうだよね。月曜日だし。
一週間の始まりはこんなものかもしれない。

「さっぱりしましたか?」

「はい、もう大丈夫です」

バスルームから出ると、既にテーブルには出来立ての料理が並んでいた。
キュウリとレタスの上に乗っているのは冷しゃぶだ。胡麻垂れがかけてあってとても美味しそうだった。

「顔色も少し良くなったみたいで安心しました」

安室さんが優しく微笑んで言った。

「月曜日はいつも憂鬱だと言っていたので心配していたんです」

「すみません、心配かけてしまって」

「いいんですよ。恋人なんですから、貴女を気遣うのは当然のことです」

さあ、食べましょうと促されて食卓につく。

「いただきます」

「いただきます」

二人で一緒に食べ始める。
安室さんが作った料理はどれも見た目通りとても美味しかった。

いまは食べ終えて食休みの最中だ。
安室さんが淹れてくれたアイスティーを飲みながら、まったりと過ごす幸せな時間。

安室さんはシャワーを浴びている。

この後どうなるかなんて言うまでもない。

バスルームのドアが開く音。
洗面所で動いている気配があって、少しして安室さんが戻って来た。

「シャワーありがとうございました」

まばゆい太陽の光そのもののようなキラキラ光る金髪に、海の青と空の蒼を映し込んだような瞳。
そして、健康的な褐色の肌。
エキゾチックな夏の化身が目の前に立っていた。
美しい。
眩しい。

「ベッドに行きましょうか」

上半身裸のままで肩にタオルを引っかけた安室さんに艶を含んだ笑みを向けられて、私はただこくこくと頷くことしか出来なかった。


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