おはようございます。安室です。 最近ポアロに来て下さらないので心配していました。 もしかして、この前僕が言ったことが原因ですか? すみません。貴女を困らせるつもりはなかったんです。 ただ、どうしても僕の気持ちを知って欲しくて…… でも、困らせてしまいましたね。 反省しています。 これからは言葉だけではなく行動でも示していきますので。 だから、以前のように、気軽にポアロにいらして下さい。 今日のランチパスタはアボカドとサーモンのクリームパスタです。 僕のオススメなので、是非食べに来て下さい。 ご来店を心よりお待ちしています。 安室透 ────────── 安室さんからのメールを見ながら溜め息をつく。 せっかくランチをオススメしてくれたのに、結局今日もポアロに行けなかった。 それというのも、一週間前に安室さんに告白されてしまったからである。 動揺のあまりポアロに行くことはおろか、メールの返信すら出来ずにいるのだった。 「あ、そろそろご飯作らないと」 スマホとにらめっこしている間に夕食の時間になっていた。 慌てて立ち上がった途端、玄関のチャイムが鳴る音が。 こんな時間に誰だろうと思いながらドアを開ける。 「こんばんは、なまえさん」 「えっ、安室さん!?」 「どうしても逢いたくなって、来ちゃいました」 そう言って笑う安室さんは中身の詰まったエコバッグを持っていた。 「ちょっと失礼しますね」 「えっ、えっ」 「夕食、まだでしょう?材料を買ってきたので僕が作りますよ」 「そんなっ、申し訳ないです!」 「どうかお気になさらず。台所お借りしますね」 「えっ、あっ?」 室内に上がった安室さんは、上着を脱ぐと腕捲りして手を洗い、早速台所を使い始めた。 てきぱきと材料を洗って切り、鍋でパスタを茹でている。 私はどうすべきかとその後ろでそわそわしていたが、とりあえず安室さんが脱いだ上着をハンガーに掛け、テーブルの上を片付けることにした。 「お待たせしました。出来ましたよ」 そうして程なくして、安室さんがパスタとサラダの皿をテーブルに運んできた。 「あ、これって……」 「ええ、メールでオススメしたアボカドとサーモンのクリームパスタです」 「すごく美味しそう!」 「そう言って頂けて良かった。僕の自信作なんです」 「本当にいただいてもいいんですか?」 「もちろん。なまえさんに食べて貰いたくて作ったんですから」 「じゃあ……いただきます」 「どうぞ召し上がれ」 くるくるとパスタをフォークに巻き付けて食べると、びっくりするほど美味しかった。 「すごく美味しいです!」 「良かった。これからも、時々作りに来ますね。何か食べたいものがあれば、遠慮なく言って下さい」 「で、でも……」 「遠慮はいりませんよ」 安室さんは思わずポーっとなってしまうような魅力的な笑顔で言った。 「僕達は恋人同士なんですから、これくらい当然のことです」 |