「どうしよう……」 「ん?」 半身を起こしてスマホのメール画面を確認している私の背中に零さんがキスをする。 昨夜の濃密な情事の余韻が残る身体には、それはただくすぐったいだけではなく、甘い快感を呼び起こされそうになってしまい、慌てて零さんから逃れようとする。 が、しかし、抵抗もむなしく、容易く捩じ伏せられてしまった。 「ぁん、待って零さん。いまは」 「それどころじゃない?」 「あっ、あっ、だめっ」 そこかしこに唇を落とされ、薄い皮膚に吸い付かれて、私の身体は私の意思を裏切って貪欲に快楽を求めはじめる。 乱れかけた呼吸を整えようとして、手の中にあったはずのスマホが無くなっていることに気付いたが、時既に遅し。 私から奪ったスマホで零さんが何やらメールを打ち終えたところだった。 「零さん!?」 「これでよし」 送信ボタンを押したらしい零さんが、役目を終えたスマホをサイドテーブルへ置き、覆い被さってくる。 「もう邪魔は入らない」 「えっ、なんてメールしたんですか?」 「いいから。集中して」 「あ、あんっ」 昨夜、散々彼に愛されていたその場所は、驚くほどすんなりと零さんを受け入れてしまった。 再び零さんの形に広げられていくのがわかる。 「あ、あっ、零さん……!」 「愛してる、なまえ」 赤井さん、ごめんなさい。 本当にごめんなさい。 |