この時期、体育館での部活動は地獄だ。
しかも、洛山の練習はハードを極める。
部員達はみんな全身汗だくになって練習に打ち込んでいた。

「よし、8分休憩!」

ようやく訪れた休憩時間に、殆どの部員が崩れ落ちるように体育館の床に座り込んだ。

「お疲れさまです」

七海は自分の役目を果たすべく、素早く部員達の間を行き来して、タオルとドリンクを渡していく。

赤司もまた座って息を整えていたので、タオルとドリンクを渡して労いを言葉をかけた。

「お疲れさま、征くん」

「ありがとう、七海」

タオルで汗を拭いて、ドリンクを飲む赤司は色っぽい。
ああ、シャツが汗でびっしょり濡れて色が変わってしまっている。

「征くん、洗っちゃうからシャツ脱いで」

「ああ、すまない」

赤司が脱いだシャツを受け取り、清潔な新しいシャツを手渡す。
これもすぐ汗びっしょりになっちゃうんだろうな、と七海は着替える赤司を見て思った。

洗濯に行こうと先輩達の側を通りがかった時、何故かじっと見られていることに気がついた。

「どうかしましたか?」

「…夫婦」

「えっ」

「よねぇ、完全に」

「俺もお嫁さんほしい!」

「もう、からかわないで下さい」

「1年生の頃の初々しかった七海ちゃんが懐かしいわ」

「初めて来た時なんかめちゃくちゃ緊張してて可愛かったのにな」

「ほらほら、もう休憩終わっちゃいますよ。しっかり休んで下さい」

七海は汗でぐっしょり濡れたタオルをてきぱきと回収して新しいタオルを押し付けると、さっさと体育館を出て行った。

「征くんと夫婦…!」

そして、人目につかないランドリールームで一人身悶えていた。


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