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「玲央」

「あら、征ちゃんお帰りなさい。トレーニングはもう終わり?」

「ああ、丁度いい時間だから切り上げて来た。それよりどうしたんだ、小太郎は。珍しく落ち込んでるようだけど」

「それがなぁ…」

「なんかねぇ、気に入ってる女の子がいるんだけど、可愛いからってちょっとからかい過ぎたみたいで、最近避けられちゃってるらしいのよ」

「馬鹿な奴だ」

「ちょっと征ちゃん!もうちょっとオブラートに包んであげて!」

「くっそぉ〜!そういう赤司はどうなんだよ!?」

「僕は生まれながらの勝ち組だよ。最初に好きになった女の子の七海は両家公認の仲の幼なじみで、向こうも小さい頃からずっと僕しか見えていないんだからね。まあ、そう仕向けたのは僕だが」

「征ちゃん…恐ろしい子…!」

「外堀を埋めるのは容易かったよ。周りの大人達は皆面白いほど思惑通りに動いてくれた。ただ、七海はああ見えて意外と賢い子だから、時間をかけてじっくり仕込んでいく必要があった。何も疑問に思わなくなるまでにはやはり少し時間がかかってしまったけど、今では完全に僕だけのものだよ。僕には二人の未来がすべて視えている。それを操るなど容易い事だ」

「冗談抜きで怖ぇよ…お前…」



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