初めて経験する京都の冬は底冷えのする寒さだった。 いつも学校を出るのは日が暮れてからだから余計にそう思うのかもしれない。 空から雪が降って来ないのが不思議なぐらい冷え込んでいる。 「うおっ、寒っ!マジ寒っっ!!」 「うっさいわねー。寒い寒い言わないでよ。余計寒くなるじゃない!」 「だってレオ姉、マジさみーって!!」 小太郎先輩がどうしても耐えられないと言うので、学校と寮のちょうど中間地点にあるコンビニに立ち寄ることにした。 夏は涼しく冬は温かく、ここは私達学生にとってオアシスのような場所だ。 「マフラーしてるとちょっと暑いくらいだね」 「そうだね」 私が首に巻いていたマフラーを取ると、征くんもマフラーも外して片手に持ちながらドリンクの棚に向かった。 今年新しく買ったクリーム色のマフラーは彼の赤い髪によく映えて綺麗だ。 私のマフラーもお揃いだけど、彼ほど似合ってはいないと思う。 近くの中学校の制服を着た女の子が二人、お菓子の棚の前でこっちを見ながら何か小さな声で話しているのが見えた。 「あの人達カッコよくない?」なんて言っているのかもしれない。 片方の女の子は明らかに征くんをチラチラ見ていたけど、当の本人は彼女達のほうに視線を向ける事は無かった。 「どれにするか決まったかい?」 「うーん、今日は甘いのがいいかな。征くんは?」 「僕はいつものでいい」 今日は可愛いバイトの女の子がいないとぼやく小太郎先輩に玲央先輩が呆れた顔で文句を言っている。 なんだかんだ言いながらも付き合ってあげるのだから、玲央先輩は優しい人だと思う。 小太郎先輩はおでんとコーラを、玲央先輩は新発売のノンシュガー珈琲、永吉先輩は肉まんを紙袋いっぱいに買い込んでコンビニを出た。 征くんは温かい御茶だ。 最近はこのメーカーのものがお気に入りらしい。 コンビニを出るとすぐに、私は自分が買ったココアのパックにストローを刺して一口飲んでみた。 なかなか美味しい。 でも、ちょっと考えていたのとは違った味だった。 「この白いココア、美味しいけどあんまりココアっぽくないなぁ」 「ココアっぽくないって、何の味がするの?」 「練乳飲んでるみたいな感じです」 「練乳!?そりゃ甘過ぎだなー」 「牛丼には合わねぇな」 「アンタはいい加減肉から離れなさいよ!」 「僕も味見させて貰っていいか?」 「うん、どうぞ」 隣にいた征くんが言ったので、私は素直にココアのパックを差し出した。 でも、征くんはココアのパックを持った私の手を上から自分の手で軽く押さえると、猫のように瞳を細め、少し首を傾げるようにして顔を寄せてきた。 唇と唇が合わさり、柔らかい舌が私の舌と口の中を優しく撫で、鼻先がちょっと触れ合ってから離れていく。 「確かに少し甘過ぎるかな」 「ちょっと征ちゃん、この子固まったまま動かないんだけど」 「じゃあ今の内にもう一回しておこう」 |