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今日も洛山の体育館にはバッシュとボールの音が響いていたが、部員の保護者から差し入れのスイカを貰ったことで、練習を一時中断して休憩することになった。

「どっかにあったと思って探してみたら、やっぱりあったぜ、ほら!」

部室から戻って来た葉山の手には『月刊バスケットボール』が握られていた。
キセキの世代の特集が載っている号だ。
マネージャーの桃井も写真付きでコメントが載っている。

「おお、デケェな」

「はー、やっぱ巨乳はいいよなぁ〜」

「中学でこれって凄いわね。今どうなってるのかしら」

「七海は…ギリギリD寄りのCってとこだな」

怒るかと思われた赤司は、

「凄いな。見ただけでそこまで正確に解るのか」

冷静な声でそう感想を述べた。
それはつまり、彼が『正確な数値』を知っているという事に他ならない。

「おいおい、マジかよ…」

「嫌ねぇ、征ちゃんったら。のろけてくれちゃって」

「赤司……いや、そうだ
って分かってたけどさ…」

「……征くん……」

葉山達はギョッとして振り返った。
切り分けたスイカを皿に盛り付けたものを人数分トレイに乗せて持って来た七海が後ろに立っていた。
ぷるぷる震えている。

「もう!どうして言っちゃうの!」

「すまない。うっかりしていた」

「嘘!絶対何か企んでる!」

「落ち着け、七海」

うわーん!となってしまった七海を赤司が優しく宥める。
スイカはひっくり返される前に無事に実渕の手に渡り、彼から皆へ配られた。

「赤司のアレって牽制だよなぁ…」

「そうね、『だから手を出すなよお前ら』ってことよね」

ようやく落ち着いてきた七海は、赤司にスイカを口に運ばれていた。

「もう絶対、絶対、教えちゃダメなんだからね!」

「ああ。お前の胸を知っているのは僕だけでいい」

「そ、そういうことじゃなくて…!」

「そういうことだろう。心配は要らない。
僕が責任を持って育てよう」

「そ、育て…!?」

実渕は「はいはい、御馳走さま」と笑ったが、葉山達もまさにお腹いっぱいな気分だった。



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