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居候させてもらっている赤司家の別宅に帰ってすぐに着替えさせられた。
何でもこの日のために征くんが用意したものだというそれは、上品な感じのするワンピースだった。
相変わらずセンスがいい。
それを私が着こなせるかどうかは別問題として。

お手伝いさんにお化粧をしてもらって、髪型も整えられる。
至れり尽くせりだ。

全ての準備が完了したところで、スーツを着た征くんが迎えに来てくれた。

「大丈夫?おかしくない?」

「とても可愛らしいよ。俺の見立て通りだ。よく似合ってる」

手放しの賛辞に恥ずかしくなる。
でも、征くんのお眼鏡にかなったことは純粋に嬉しい。

「ありがとう」

「礼を言うのは俺のほうだよ。今日一日お前を独り占め出来るのだから」

征くんは私の手をとって笑った。

「改めて、誕生日おめでとう、七海。今日この日に感謝を捧げるよ。生まれてきてくれてありがとう」

「征くん…」

「それじゃあ、食事をご一緒して下さいますか、お嬢さん」

「はい、喜んで」

気取って言った征くんに合わせて答える。
それから二人してクスクス笑った。

「今年のプレゼントは期待していいよ」

「えっ、一緒に食事がプレゼントじゃないの?」

「それはデートの一部じゃないか。プレゼントは別に用意してある」

「そうなの?なにかなあ、ドキドキする」

「期待に添えるよう努力するよ」

「ん?」

「さあ、行こうか」

今年のプレゼントが何だったのか。
それは、征くんが食事の後にさりげなくルームキーを見せて微笑んだと言えば、おわかり頂けるだろう。

もちろん、大満足の誕生日プレゼントだった。


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