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バレンタインが近いので、チョコレート専門店を何件か下見し、ついでにメジャーなお店が入っているデパ地下巡りをしようと思っていたら、半兵衛さんが一緒に行くと言い出した。

「僕も君にあげるチョコレートをリサーチしようと思ってね」

「お互いこっそり下見しましょうよ」

「目的が同じなのだから一緒に行動したほうが効率的だろう?」

僕と一緒に出掛けるのは嫌かい?なんて儚げな笑顔で言われてしまったら、断れるはずがない。

こうして、半兵衛さんと一緒にお店を回ることになったのだった。

「これはちょっと香辛料が効きすぎだね」

「そうですね。複雑な味がします」

「もっとシンプルなもののほうが好みだな」

チョコレートと一口に言っても、最近は様々な種類のものがある。
新進気鋭のショコラティエの最新作とやらを試食させてもらったのだが、私が知っているチョコレートの味とは大きくかけ離れていた。

「君ももっと甘いもののほうが好きだろう」

「そうですね。疲れた時にちょっと摘まめるような甘いチョコが良いです」

残念ながら合わなかったお店を後にして、次の専門店へ。

少し休憩しようと言うことになり、二階にあるカフェスペースでホットチョコを頂いた。

「どうだい?」

「甘くて美味しいです」

「そうだね。何だかほっとする味だ」

温かいホットチョコを飲んだことで少し落ち着いてきた。

久しぶりのデートだし、何より半兵衛さんに合ったチョコを見つけなければならないとあって気負い過ぎていたようだ。

「シンプルでカカオ成分の高いものが良いですか?」

「君から貰えるのならどんなチョコでも嬉しいよ」

半兵衛さんが私の頬をしなやかな指でするりと撫でる。

「その上で、リボンを巻いた君を差し出してくれれば完璧だ」

艶やかな笑みを向けられて頭がくらくらした。


バレンタイン決戦
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