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学校がお休みの日に江ノ島に行くことにしたら、何故か蓮二が自分も一緒に行くと言い出した。
大事な関東大会の真っ最中だからいいよと言ったのに聞いてくれない。幸村くんから何とか言って貰えないかとお願いしたら

「苦労するね、蓮二も」

と何故か蓮二に同情されてしまった。

「過保護すぎない?私だってもう高校生なんだよ」

「お前の場合は過保護なくらいで丁度いい」

隣を歩く蓮二はまた少し身長が伸びたようだ。高校に入ってから髪型を変えてイメチェンしたのだが、これがまた女子を騒がせる原因になっている。
立海ではエスカレーター式に中学から高校に上がった子が多いけど、外部から初めて高校に来た子もいるため、男子テニス部はそういう子達からキャーキャー言われているのだ。中学から一緒の私達にしてみたら既に見慣れた光景である。
私の友達が言うには、イメチェンした蓮二は前よりも一層色気が増したらしい。
うん、まあ、確かにそうかもしれない。
高校生になった蓮二は前よりも更に大人びてカッコよくなった。

そんなことを考えていたら、いきなり蓮二に手を繋がれた。

「えっ、なんで手繋いだの?」

「デートなのだから手を繋いでもおかしくないだろう」

「デ、デート!?」

「違うのか?」

「違わない、けど」

繋がれた手が熱い。もちろん夏の暑さのせいだけじゃない。
本日は快晴。気温も順調に上がって来ている。時折、隣を歩く蓮二の涼しげな横顔をちらりと見上げるたびに私の鼓動も順調に速くなっていく。
ああ、今年の夏も暑くなりそう。

「着いたぞ」

そうこうする内に目的地である江島神社に到着していた。ここまでの石段で私は既に息が上がっていたが、蓮二は少しも呼吸が乱れた様子がない。さすがテニス部レギュラー。体力の差を感じる。

「何を祈願しに来たんだ?」

「蓮二達が全国大会三連覇出来ますようにって」

「縁結びの神様にか?」

「そうだけど、関東有数のパワースポットだもん。きっと御利益あるよ。蓮二もお願いしよ」

「では、俺はお前との仲が進展するように願っておこう」

「えっ」

「神仏に願う前に自力で進展させるつもりでいるが。たまには神頼みも悪くない」

涼しい顔をしてこういうことを言っちゃう蓮二が私は苦手だ。そして、それをわかってて言うのだから余計にタチが悪い。

「蓮二は意地悪だ、とお前は言う」

「本当にそういうところだよ、蓮二!」


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