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妹に彼氏が出来た。
記念すべき初彼だ。
姉としても大変喜ばしいことなので、お赤飯を炊いてお祝いした。

去年からもう既に二人きりで七夕祭りや花火大会に行って手を繋いで見て回ったり、帰りは送って貰ったりとか、もうそれ彼氏じゃないの?なんでそれで付き合ってないの?と言いたくなる状況だったのだが、今年に入ってちゃんと告白されて正式にお付き合いすることになったらしい。

妹から話を聞いているだけでも大事にされているんだなと分かるくらいだから、きっと少しずつ想いと絆を深めていっている最中なのだろう。
ロマンス小説かと思うほどの純愛ぶりだ。

今日はその妹の彼氏と私の彼氏を夕食に呼んで、ちょっとした食事会みたいなものをやることになっていた。


「いらっしゃい周助くん。今日は来てくれて有難う」

「こちらこそ。呼んでくれて有難う。嬉しいよ」

玄関でにこにこと微笑む周助くん。

「これお土産。前に七海ちゃんが美味しいって言ってたパティスリーのケーキ」

「わ、有難う!」

「妹さんの彼氏はもう来てるの?」

「うん。もう待ってるよ」

さあ上がってと声をかけて、皆が待つ部屋へと案内する。
礼儀正しい妹の彼氏は私達を見て椅子から立ち上がったが、挨拶をしようとしたまま何故か凍りついた。

「やあ、観月」

周助くんがにこやかに彼に微笑みかける。

「これから長い付き合いになりそうだね」と笑う周助くんの目が開いていた。

「お義兄さんって呼んでもいいんだよ」



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