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「わ、外もう真っ暗!」

「やっぱ暗くなるの早いね」

そんな会話が聞こえてきて、ふと顔を上げる。
窓の外を見ると、確かにすっかり暗くなってしまっていた。
もう完全に夜だ。

作業の手を止めたついでに伸びをして、時計を見る。
時間は19時。暗くもなるはずだ。
「腹へったー」と男子がぼやいているのも道理だった。
本当ならもうご飯を食べていてもおかしくない時間なのだから。

現在青学の生徒達は、今週末に行われる学園祭の準備に追われていた。
本番に向けて最後の仕上げに取りかかっている所も多い。

「食べる物買いにコンビニ行ってくるけど、何か頼みたいものある?」

よいしょ、と立ち上がりながら言えば、それぞれの作業に取り組んでいたクラスメイト達が一斉にこちらを向いた。

「肉まん!」
「コーラ!」
「お茶とおにぎり」
「ポテチとか腹に溜まりそうな系の食べ物」
「プリンとか甘いデザート」
「肉まんとあんまん」
「なんかウマそうなお菓子!」

待ってましたとばかりに立て続けに上がる声。
オイコラと思ったものの、言い出した手前断る事も出来ず、仕方なく頼まれた物をメモしながら思わず顔が引きつりかけたところへ、くすりと小さく笑う声が聞こえてきた。

「ボクも行くよ」

不二くんだった。
疲れの色さえ見せずに、いつもと同じ柔和な微笑を湛えている。

「え、い、いいの?」

「うん。女の子一人じゃ危ないからね」

それに荷物持ちも必要でしょ、と微笑む不二くんの背後に後光が射して見えた。
なんて優しいんだ不二くん!

「有難う、不二くん」

「どういたしまして。じゃあ、行こうか」

「うん!」

意味深にニヤニヤしながらこっちを見ていた男子の頭めがけて体操服の入った袋を投げつけてから、不二くんと一緒に教室を出た。
廊下に出た途端、「あいつ照れてやんの」と笑っているのが聞こえてきて、体操服の袋じゃなくて金ヅチを投げておくんだったと後悔した。
戻って来たら必ず仕止める。



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