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休日の過ごし方は人それぞれだ。

例えば、恋人が昨夜から泊まりに来ているとき。
いつもより少し遅めに起きた朝は、楽しみにしていた映画のDVDを観ながら、グラタンとサラダとワッフルに、フルーツをたっぷり入れたヨーグルトのブランチ。


「やっぱり泣いてる」

ティッシュを取ってくれながら嬉しそうに言う彼はわりと鬼畜だと思う。

「途中からもう瞳がうるうるしてたからね。これは終わった時には泣いちゃってるなと思って見てたんだ」

「ひ…ひどい…」

「可愛い」

「可愛くないよ…」

「可愛いよ。すごく」

クスクス笑いながら、「馬鹿な子ほど可愛いって言うけど、本当みたいだね」などと大変失礼な感想を頂いた。
本当に不二くんはひどい。
そういえば昨日の夜も意地悪だったし、いじめられた。
彼は実はSなのかもしれない。今更だけど。

隣でのんびりコーヒーを飲む恋人について認識を改めていると、その彼が、「ああ、そうだ」と何かを思い出したように言った。

「レポート、31日までだって」

「レポート?そっか、もうあと一週間なんだね」

「ちゃんとやってる?」

「やってるよやってる!毎日やってるよ!」

「本当かなぁ?」

「本当だよ」

「あと一週間だからね。後で泣くことにならないようにしっかりやるんだよ」

「うん」

不二くんに渡されたマグカップを受け取りながら、早く仕上げないと、と内心焦っていた。
そんな私を見て穏やかに微笑んでいる彼は優しい人なのかもしれない。
不二くんはほんと不思議な人だ。

「ボクも手伝ってあげるから」

「…うん」



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