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友達が誕生日を祝ってくれるというので待ち合わせ場所に行ったら、何故か、幸村くんと不二くんが現れた。
二人とも相手がこの場にいることに驚いているようだ。
というか私も驚いた。

「不二?」

「あれ…?幸村?」

「キミもかい?」

「じゃあ、キミも?」

わけがわからない。
どうして幸村くんと不二くんがここにいるのだろう。

「もちろんお祝いに来たんだよ」

「そう、友子さんに誘われてね」

お前の仕業か!と怒りながら首謀者に電話するが、出ない。
思わず舌打ちしたくなるのを堪えてもう一度電話しようとした時、メールの受信を知らせる音が響いた。

『やっほー!誕生日おめでとう!七海!お祝いに幸村くんと不二くんをメールで呼び出しておいてあげたから上手くやってね!両手に花だね!』

という文を見て、本当に祝う気があるのかと小一時間問い詰めたくなった。
誕生日を祝うはずの本人に丸投げするってどういうことだ。酷すぎる。

「七海ちゃん」

「えっ、あ、なに?不二くん」

「せっかくだから三人でお茶でもしようって話になったんだけど、どうかな?」

と、幸村くん。

「え、え、でも、悪いからいいよ!」

「気にしないで」

「あのメールが無くてもお祝いはするつもりだったしね。個人的に、だけど」

「うん、個人的にね」

フフ…と二人が笑い合う。
私はまだ状況が飲み込めないまま、二人に両脇を固められてカフェに連行されて行った。
丁度テラス席が空いていたので、丸いガーデンテーブルを囲むように座る。

「七海ちゃん、何にする?」

「ケーキセットがいいんじゃないかな」

「あ、うん、それにしようかな」

「俺のお勧めはチョコレートケーキだよ」

幸村くんに言われてメニューの写真を見る。

「美味しそう!」

「七海ちゃん、ここはチーズケーキも美味しいよ」

「えっ、そうなの?」

「うん、僕のお勧め。どうかな?」

「二つはさすがに食べられないんじゃないかな」

「七海ちゃんの好きなほうでいいんだよ」

そ、そんなこと言われても…!
こっちを立てればあっちが立たずで、困るんだけど!

「ごめん、ちょっと意地悪だったかな」

「二つとも頼もうか。食べきれなかったら俺が貰うよ」

「そんな、幸村くんに残り物を食べさせるなんて出来ないよ!」

「大丈夫。俺なら平気だよ」

「僕も食べてあげるから心配しないで」

そうこうしている内に店員さんがオーダーをとりに来て、幸村くんはケーキセットを二つと飲み物を三人分(内二つはセットのものだ)頼んでしまった。

「そんなに慌てなくていいのに。可愛いね」

「七海ちゃんはいつも可愛いよ」

「あ、あのっ」

「ああ、ケーキ来たよ」

良かった…。
でも周りの女性客からの視線が痛い。

「誕生日おめでとう、七海」

「お誕生日おめでとう、七海ちゃん」

「あ、ありがとう!」

最初はどうなることかと思ったが、二人がお祝いしてくれた上にケーキも紅茶も美味しいし、今日は良い日かもしれない。

そう思っていたら、カップを置いた幸村くんが言った。

「キミが好きだ。俺と付き合ってほしい」

「えっ!?」

「好きだよ、七海ちゃん。僕の彼女になってくれないかな」

「ええっ!?」

「ふふ、驚いてるね。でも、俺は本気だよ」

「僕もね」

「返事は今すぐにとは言わない。ゆっくり考えて、良い返事を聞かせてくれ」

「待ってるよ、七海ちゃん」

その後二人は、お祝いだからと私の分のケーキセット代を出してくれた上に、家まで送ってくれた。

呆然としたまま玄関ドアに背を預けていると、スマホから着信音が。
今回の元凶からだ。

『どうだった!?』

どうもこうもないよもう…。
ほんとにこれからどうしよう。


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