大病院の若き院長にして、政財界に絶大な影響力を持つ旧家五条家の現当主で、天才的な外科医でもある五条先生は、天から二物も三物も与えられまくっている。
特筆すべきはその容姿だ。異国の人かと見間違うほど恵まれた体躯と長身はそれだけで威圧感を感じそうだし、美しく整った造作のお顔に、空と海を同時に映したかのような蒼い瞳、新雪の色をした髪と、同じ色をした凛々しい眉に、長くてふさふさの睫毛、形の良い艶のある唇ときたら、もうその美貌に圧倒されるしかない。

そんな五条先生なので、それはもうおモテになる。
女性患者の大半は五条先生のファンだし、若い女性看護師さんの中にはガチ恋の人もいるらしい。
その五条先生の女性関係はと言うと、来る者は拒まず去る者は追わずのスタンスで後腐れのない関係を好んでいるのだと噂で聞いた。

「実は僕よりも傑のほうがモテてたんだよね。若い頃は二人でそれなりにヤンチャもしたけど、今は君一筋だよ」

夕食の時間。
私が配膳用のワゴンから自分の分の夕食を運んで来たら、いつの間にか病室に入り込んでいた五条先生が私に向かってウインクしながら言った。人によっては軽薄だと思われそうな言動だが、これで落ちちゃう女の人も多いんだろうなあ。

「信じてないでしょ。そういう顔してる」

ベッドに腰掛けて長い脚を組んだ五条先生は、私があげたデザートのプリンを美味しそうに食べている。

「でも、本気だよ。この年になって恥ずかしいけど、初恋なんだ」

そう言って五条先生は、はにかむように笑ってみせた。

「夏油先生がいなくなって寂しいんですね」

「うん、まあね。傑は僕のたった一人の親友だからね。でもあいつはあいつで赴任先の離島で上手くやってるみたいだし心配はしてないかな」

五条先生の右腕的存在だった夏油先生は欲望渦巻く都会の病院のあれこれが嫌になってしまったらしく、離島の診療所に自ら志願して行ってしまったのだった。
どうしているのか心配だったのだけど、この前その島の特産品と一緒に、双子らしき小さな二人の女の子と優しそうな看護師さんと写った写真が送られて来たのでちょっと安心した。看護師さんの隣に立つ夏油先生はとても穏やかな微笑みを浮かべていて、向こうで良い出逢いがあったのだとすぐにわかった。

「て、誤魔化さないでよ。僕、口説いてるんだけど」

「五条先生、私にもプリン一口下さい」

「キスさせてくれたらいいよ」

ひどい。私のプリンなのに理不尽だ。

「ダメって言ってもしちゃうけどね」

「んっんっ」

五条先生にちゅっちゅされてしまった。
病院側の都合で四人部屋から個室に移されていたので他の人に目撃されずに済んだものの、誰かに見られていたらおおごとだ。
五条先生が直接指導したという研修医の野薔薇先生や伏黒先生や虎杖先生あたりにはバレているみたいだけど。
五条先生はこういう人なので、人前でも私に対する好意を隠そうともせず隙あらばイチャイチャしようとしてくるのだ。
私はその度にひやひやしているのだが、五条先生は一向に態度を改めてくれない。

「なまえ、舌出して」

「やっ、やっ、んぅ!」

深く口付けた五条先生に舌を吸いだされてちゅくちゅくと吸われる。その間、五条先生の器用に動く大きな手は私のパジャマの前ボタンを外してブラをずらし、直におっぱいをふにふにと揉んでいた。

「柔らかいねぇ。気持ちいい?」

乳首をくにくにを指で摘ままれ、擦られ、軽く引っ張られる。じんじんとした痛みと快感が同時にこみ上げてきて、思わず太ももをすり合わせると、五条先生はにんまり笑った。

「ん?下も診て欲しいの?いいよ。脱がせてあげる」

抵抗する暇もなくするりと下着ごとズボンを抜き取られてしまう。器用すぎる外科医の手怖い。

「ひん!」

お腹に聴診器を当てられ、そのひやりとした感触に飛び上がりそうになる。

「冷たかったね。ごめんね。すぐ温かくなるから」

五条先生が聴診器をお腹から太ももに滑らせていき、やがて股間にそれが押し当てられた。ぺちゃりと濡れた音がして、恥ずかしさに耳を覆いたくなる。

「どうやらここは念入りに触診しないといけないみたいだね」

聴診器を外してベッドサイドの机に置いた五条先生が指でくちくちとそこを弄りはじめた。それだけじゃなくて、首筋から鎖骨にかけてに唇を滑らせた五条先生はそこかしこにキスマークをつけていく。

「ごじょ、せんせっ」

「んー?」

乳首をちゅぱちゅぱ吸いながら五条先生が上目遣いに見上げてくる。

「あの、もう……」

そう言いかけた時、何の前触れもなくガラッとドアが開かれた。

「苗字さん、食事のトレイが戻ってきてないけど、どうかした?って、あ……」

研修医の虎杖先生だ。私の夕食のトレイが配膳用ワゴンに戻されていないことに気づいて様子を見にきてくれたらしい。

「あー、すんませんした」

「待って!待って!助けて虎杖先生!」

「えっ、襲われてたの!?それはマズイって五条先生!」

「いや?同意の上だけど?」

「いや、ヤる前にせめて夕食は食べさせてやってよ」

そういう問題じゃないんです!
涙目でぷるぷる震えながら視線で訴えると、五条先生にちゅっと宥めるようにキスをされた。

「お腹すいてた?ごめんね。一回中出ししたら食べさせてあげるからさ。ちょっとだけ我慢して」

夏油先生、お願いだから戻ってきて下さい



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