目を開けると、世にも美しい顔が目の前にあって驚きのあまり変な叫び声をあげそうになってしまった。一瞬で目が覚めたし、なんなら心臓も止まりかけた。

「あ、起こしちゃった?ごめんね」

「ぴゃっ!?」

「あはは、なにそれ可愛い」

五条先生に優しくひと撫でされただけで身体が勝手に反応してしまう。言うまでもなく五条先生によってそう躾られてしまったからだ。春休みにこの高専の寮に入り、もうじき五月になろうかというこの短期間で私の身体はすっかり五条先生好みに作り変えられてしまっていた。

「相変わらず敏感だね。ま、僕がそうしたんだけどさ」

そんなにチョロくて大丈夫?と五条先生が首を傾げてみせる。
光の速さで教え子に手を出した教師の言うことじゃないと思います。

「それより僕、なまえに逢いたくて秒で仕事終わらせてきたんだよ。偉いでしょ」

「そうだったんですね。さすが五条先生、お疲れさまでした」

「うんうん。もっと褒めて」

五条先生のふわふわの白い髪を撫でてあげると、先生は嬉しそうに笑った。こういうところは子供みたいで可愛いんだよなあ。

「ねえ、ご褒美ちょうだい」

「えっ、んんっ」

何かを答える前にキスで口を塞がれてしまった。
後頭部を大きな手で支えられていて身動きもままならないまま、ぬるりと入り込んだ舌に好き放題に口の中を蹂躙される。上顎のあたりをねろねろと舐められて背筋がゾクゾクした。

「キスだけで蕩けた顔しちゃって可愛いねえ」

私の身体を跨ぐように膝立ちになった先生が見せつけるみたいにして上着を脱ぐ。
首もとまできっちりガードされたいつもの格好とは違い、身体にぴったりと張り付いた黒T姿からは鍛え抜かれた体躯であることがはっきりとわかって、とてつもなくえっちだ。

「僕のこと好き?」

「す……すき……」

「僕もだよ。愛してる」

艶めいた甘い声で囁いた五条先生が覆い被さってくる。
その逞しい肉体の重みを全身で受け止めながら、私は明日の朝ちゃんと起きられるだろうかと頭の片隅で考えていた。

何もかも五条先生がえっちなのが悪い。



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