朝、目が覚めると、五条さんが私に抱きついたまま眠っていた。

いつ帰って来たんだろう。昨日は任務だったはずだから夜中か明け方頃に戻って来たのかな。
というか、脚を絡められてがっちり抱き締められているせいで身動きがとれない。
よほど疲れているのか、五条さんの眠りは深いらしく、すうすうと穏やかな寝息が耳元で聞こえている。
お互いの体温で暖まって心地よく、自分よりも大きな男の人の身体に抱き締められる安心感があるのはいいのだが、これでは朝食の支度をしに行けない。

起こしてはかわいそうだと思いながらも好奇心には勝てなくて、何とか身体をよじって後ろから私を抱き締めている五条さんを振り返った。

(──わわっ!)

途端に、至近距離に迫った綺麗な顔に度肝を抜かれそうになる。
当たり前だけど、五条さんは目隠しもサングラスも着けていなかったから、美しく整った人間離れした美貌が無防備にさらされていた。
こうして改めて見ると、本当に綺麗だ。
いまは下ろされている目蓋を縁取る睫毛も、手入れなどしなくても生まれながらに完璧なラインを描く眉毛も、髪と同じ色で、まるで誰にも踏み荒らされていない新雪のような美しさだった。
すっと通った鼻筋も、桜色の唇も、五条さんを形造る全てが完璧な美そのものだ。
元から童顔だとは思っていたけれど、こうして眠っていると更に幼くあどけなく見える。
白雪の色をした髪を、そっと撫でる。

「五条さん、可愛い」

「でしょ。もっとヨシヨシしていいよ」

五条さんの目が開く。
寝起きであってもその鮮やかさは変わらない美しい青い瞳が、私をとらえて柔らかく細められた。

「おはよ」

「おはようございます」

「惚れ直しちゃった?」

「寝顔まで綺麗で可愛くてびっくりしちゃいました」

「お前のほうが可愛いよ」

額と額をこつんと触れあわせて五条さんが笑う。
そのままキスをされた拍子に、ふわりとシャンプーの甘い香りが鼻をかすめた。
恐らく寝る前にシャワーを浴びたのだろう。

「遅くまでお仕事お疲れさまでした。お腹すいてませんか?」

「うーん、それよりお風呂に入りたいかな。久しぶりにゆっくり湯船に浸かりたい」

「じゃあ、お湯溜めてきます」

「いいよ、僕が行く。その代わり、なまえも一緒に入って」

「えっ」

「いいでしょ?お願い」

「もう……しょうがないなあ」



お湯が溜まると、五条さんはいそいそとバスルームに向かった。
私が以前暮らしていたワンルームマンションのユニットバスと違い、洗い場のある広いお風呂なのでガタイのいい五条さんと二人で入ってもまだ余裕がある。

「はあ……やっぱりお風呂は湯船に浸からないとね」

寛いだ様子で腕を伸ばす五条さんだが、私は緊張してしまってそれどころではなかった。
何故なら、五条さんの脚の間に座らされて、程よくついた筋肉の隆起がわかるくらい密着しているからだ。
五条さんは顔だけじゃなく、しっかり鍛えられた身体はモデル並みにスタイルが良くて、完璧なのだった。
私の耳元に唇を寄せて、ふふと吐息だけで笑った五条さんのせいでますます身を縮こませる。

「なまえはいつまで経っても慣れないねえ」

「だって……」

「セックスの時は平気なのに?」

「それは、その時は夢中で何もわからなくなってるから」

「ふうん。僕とするの、そんなに気持ちいい?」

「やっ、聞かないで……!」

赤くなった顔を両手で覆い隠すが、許さないとばかりに五条さんの手が手首を掴んで外されてしまう。

「ほんと、お前、可愛すぎ」

顎を掬われて振り向かされ、キスをされる。
薄く開いていた唇の隙間からねじ込まれた舌に翻弄されて、あっという間に身体に火がついた。
五条さんの大きな手が胸を包み込むようにして揉みしだき、先端をきゅっと摘ままれる。

「ひゃんっ……あ、あ、だめえっ」

「ちんこピクッてなった。いまのもう一回言って」

「そういうとこですよ、五条さん」


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