「先生待って、深いっ」

「ごめん、怖かった?もっとゆっくりするね」

「うん……離さないで」

「大丈夫。絶対に離さないから」

サングラスにもアイマスクにも遮られていない宝石のような青い目にごく近くから見下ろされ、甘く蕩けそうな優しい声が密着した身体に直に響く。
こんなところ、野薔薇ちゃんに見つかったら目の色を変えて怒るに違いない。
それほど、いまのこの密着具合は「いけないコト」だった。手を滑らせれば、先生のゴツゴツとした筋肉の凹凸が手の平に感じられる。

やっと少し深さに慣れてきたので脚で水を掻いてみると、水の抵抗を脚に感じた。
五条先生にしっかり抱き支えて貰っているので沈むことはなかったけど、やっぱりまだ少し怖い。

「先生?どうして笑ってるの?」

「いやあ、可愛いなあって」

「あっ、だめっ、おっぱい揉まないで!」

「ごめん、無理。だって水着のお前めちゃくちゃエロいんだもん。はあ、堪んない」

「先生のえっち!」

貸し切りだから他に誰もいないとはいえ、教師が生徒に手を出すのはダメだと思う。
外資系ホテルの室内プールを貸し切りにして、水着の教え子の胸の谷間に手を入れる教師──完全にアウトだ。

水着の中に潜り込んだ手が、水に浸かっていたせいでいつもより冷たく感じられる乳首をクニクニと捏ねくり回す。
抗議の声は強引なキスに遮られて、先生の口の中に消えた。
巧みな口付けにとろとろに蕩けさせられた私がくったりとなったのを見た先生が満足げな笑みを浮かべてみせる。

「お願い叶えてあげたんだから、これくらい許してよ」

とんでもない対価だ。私はただプールに入りたいとぼやいただけなのに。

七夕の今日も朝から任務だった。
いまが繁忙期真っ只中である我々高専の生徒には、まともな夏休みなど望むべくもない。うじゃうじゃと湧いて出る呪霊どもを祓って祓って祓いまくるのみだ。
そうして疲れきっていた私は、うっかりこの人の前で言ってしまったのだ。

「こんなに暑いとプールに入りたいですね」と。

先生の行動は早かった。

その場でどこかに電話をかけたかと思うと、水着を持っておいでと言われたのだ。

「今すぐ?」「今すぐ」

そして、車に押し込まれ、到着したのがこの東京でも有名な外資系ホテルの室内プールだった。
誰もいない静かな更衣室で水着に着替えた時は夢でも見ているのかと思ったほどだ。
そうしてやって来た室内プールでは、ハーフパンツタイプの水着だけを履いて、鍛え抜かれた肉体美を惜しげもなくさらした五条先生が待ち構えていたのである。

「ほんと、僕の織姫は可愛いね」

水着の股布の部分を横ずらして、まだぴったりと閉じたままの縦筋を指の腹でなぞられると、快楽への期待で背筋がゾクゾクした。じわり、と水ではない液体がそこに滲む。

「僕なら一年に一度なんて我慢せずに、なまえを攫っちゃうけどね」

「せ、せんせ……」

「ほら、ここだって僕が欲しいって泣いてるよ?」

指でくちゅくちゅと弄られると濡れた音がした。すっかり慣らされてしまっている、と情けなさに瞳が潤む。
こんなの、いけないコトなのに。

「いいんだよ。余計なことは考えなくて。すぐに僕のことしか考えられなくしてあげる」

指の代わりにびっくりするくらい大きな質量を持つものがあてがわれ、そこに密着させてぬるぬると上下に擦られるともうダメだった。

「いい子だね。片足上げて、そう、そのまま」



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