「ん……せんせぇ」

「大丈夫?無理させてごめんね。お水飲む?」

頷くと、ちょっと待っててと言って五条先生は寝室から出て行った。
行為が終わった後、半ば意識が飛んでいた間もずっと腕枕をしてもらって先生の体温に包まれていたから、少し寂しい。

でも、先生のお誕生日に初めてを捧げることが出来て良かった。

先生はとても優しかったから、いざその時になっても痛くはなかったけど、今までに感じたことのない異物感と圧迫感があったのを覚えている。
でも、それらを上回る快感が行為の間ずっと身体を支配していた。
最後のほうなんてもう完全に頭の中が真っ白になっていて、先生にされるがままだった気がする。

「悟さん、大好き」

「そういうことは僕の顔を見ながら言って」

「せ、先生……!」

いつの間にか五条先生が戻ってきていた。
暗い寝室の中でその白せきの美貌と白い髪が浮かび上がって見える。

「あれ?もう悟さんって呼んでくれないの?」

片手にミネラルウォーターのペットボトルを持った先生は、ニヤニヤしながらベッドに腰を降ろした。

「も、もう!先生の意地悪!」

「あはは、かーわいーい」

拗ねない、拗ねない、と頭を撫でられる。
それから先生はペットボトルの封を切って蓋を開け、中身を飲んだ。
先生も喉が渇いていたのかなと思いながら見ていると、先生の綺麗な顔が近付いてきたのでドキッとしてしまった。
思わず目を閉じた私に先生がキスをする。
そうして、そのまま口移しで水を飲ませてくれた。口の中に入り込んだ舌と一緒に少しずつ流し込まれてくる水を、こくりこくりと喉を鳴らして飲み込む。
水が無くなっても先生の舌は出て行かなかった。快感を引き出そうとするかのように口の中を執拗に舐められて、身体に甘い痺れが走る。

「せ、せんせ……んぅ……」

一度唇が離れたと思ったら、角度を変えてもう一度。
呼びかけた舌を絡め取られて、じゅうっと吸われる。
どちらのものともわからない唾液を嚥下すると、先生は満足そうに笑った。

「可愛いねえ。好きだよ、なまえ。愛してる」

「わ、私も」

「なまえが思ってるよりもずっと僕はお前を愛してるよ。自分でも重すぎて呆れるくらいにね」

優しく頬を撫でられてゾクッとしたのは、たぶん夜の冷気のせいだろう。
先生を怖いと感じるなんて、そんなこと。

「もう逃がしてあげられないから、覚悟しなよ。僕の可愛いなまえ」

先生が上から覆い被さってくる。
ゴツゴツした大きな手で素肌をまさぐられ、くすぐったさに身を震わせると、今度は唇が落とされた。ちりっとした痛みの後に熱い舌にぬるりと舐め上げられる。

「僕、今日誕生日なんだよね」

「はい、お誕生日おめでとうございます、先生」

既にお祝いはしていたけど、もう一度改めてお祝いの言葉を伝える。先生は美しい顔に艶めいた笑みを浮かべて私を見下ろしていた。

「誕生日プレゼントとしてなまえの一生を僕にちょうだい。その代わり僕の一生をあげるからさ。いいよね?はい決まりー」

「えっ、えっ?」

「十三歳も年下の教え子に手を出すなんて自分でもどうかしてると思うけど、惚れちゃったものは仕方ないよね」

何やら自己完結した先生は、私の左手の薬指にどこからか取り出した指輪を嵌めて、唇にちゅっとキスをした。
えっ、これってもしかしなくても婚約指輪的な?
ああ、でも、先生が──悟さんが幸せそうだからまあいいか。お誕生日おめでとうございます。
悟さん、大好き。


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