「お疲れサマンサー!迎えに来たよ」

試験会場から続々と出てくる受験生達は、門の前の道路に横付けされた黒塗りの高級車と、その前に立つ人物を見て、皆一様にぎょっとした顔をしてから通りすぎていく。
何しろこの男、ルックスだけなら超絶美形なので。
新雪の色をした髪に、空と海の青を詰め込んだような瞳。完璧に整った顔立ちは人形めいていながら、そこに浮かぶ豊かな表情のお陰で冷たくは見えない。
190cmを越える長身に、鍛え抜かれたものと一目でわかる体格。モデルかアスリートのような、すらりとした長い手脚。
女の子達の中には、友人同士でひそひそ話していたり、真っ赤になりながらぼうっと見とれていたりする子もいた。
本当に人騒がせな人である。

ため息をつきながら歩いて行くと、両腕を広げた五条先生にぎゅっと抱き締められた。辺りにざわめきが広がっていく。

「試験、どうだった?」

「全力は出しきりました」

「そっか。なら、大丈夫だね」

脇に手を入れられ、高い高いをするみたいに抱き上げられる。
サングラスの隙間から見える青い瞳はキラキラ煌めきながら私を見つめていた。

「お前がどんなに努力してきたか、僕が一番知ってるからね。必ずいい結果が出るさ」

「そうでしょうか」

「もちろん。最強の僕の御墨付きだよ」

抱き上げられたまま、ちゅっと唇にキスをされる。ざわめきがどよめきに変わった。

「試験の結果も気になるだろうけど、高専を卒業したら僕のお嫁さんになるっていう約束も忘れないで」

私が赤くなってあわあわしていると、にっこり笑った五条先生はもう一度、今度はがっつり唇を重ね合わせてキスをした。

「んー!んんー!」

「ん?」

唇を離した五条先生がにこにこしながらあどけない仕草で首を傾げてみせる。
私はというと、五条先生の超絶技巧なキスのせいでふにゃふにゃになってしまっていた。

「あ、見ての通り、この子は僕のだから。間違っても惚れたりしないようにね」

きっちり牽制してから五条先生は私を抱えたまま車に乗り込んだ。

「大学に合格したら、いよいよ学生結婚かあ。なんかえっちだし、ロマンがあるよねえ。裸エプロンでおかえりなさいとかもしちゃう?」

五条先生の膝の上でふにゃふにゃになったまま私はそれでも明日の試験も頑張らなきゃと健気にも考えていた。


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