盤星教を乗っ取って掌握した傑くんは、その地位を利用して彼が「猿」と呼ぶ非術師の人達から呪いと資金を集めているらしい。いや、巻き上げていると言うべきか。
そうして今日も教祖様としてのお役目を終えた傑くんは、袈裟と一緒に教祖の殻を脱ぎ捨ててこの部屋を訪れていた。

「ただいま、なまえ」

この部屋の唯一の出入口である引き戸が開かれて傑くんが入って来る。
私がそっぽを向いたままでいると、傑くんは少し困っているような声で言った。

「遅くなったから怒っているのかい?すまなかったね。私も早く君に逢いたかったんだが、今日は呪霊に取り憑かれている猿共がやたら多くてね。少し時間がかかってしまったんだ」

衣擦れの音とともに、私の背後に腰を降ろす気配。優しい手つきで頭を撫でられる。

「お願いだから、可愛い顔を見せてくれないか」

懇願する声音で言われ、しぶしぶ振り返れば、すぐに傑くんの手に頬を包み込まれるようにして顔を上げさせられた。
触れるだけの優しい口付けが唇に落とされる。

「今日は冷えるから、一緒にゆっくり暖まろう」



ちゃぷん、と音を立てて湯が跳ねた。

傑くんの両脚の間に座らされ、後ろから抱え込まれた、いわゆるバックハグ状態で湯船に浸かっている。
体格差、身長差があるから、こうされると本当にすっぽり包み込まれてしまう。

「気持ちがいいね」

もう随分長い付き合いになる幼馴染みなのだから相手の裸も見慣れているだろうと思われるかもしれないが、例え何度身体を重ね合ったとしても、これだけは慣れることはないと断言出来る。
だって、大人になった傑くんは格好良すぎるから。男性としての魅力というか、色気が半端ない。

私のお腹の辺りで緩く組まれた大きな手も、筋肉質な長い脚も、背中に当たる逞しい身体も。
傑くんを構成している何もかもが異性としての魅力に満ち溢れているせいで、意識してしまって恥ずかしくて堪らない。

「なまえ?」

黙ったままの私を不思議に思ったのか、傑くんが顔を覗き込んでくる。
咄嗟に両手で顔を隠したが、赤くなっているのをばっちり見られてしまったようだ。
傑くんは肩を揺らして笑っている。

「私の身体なんてもう見慣れているだろうに、まだ恥ずかしいのかい?本当に君は可愛いね」

含み笑った傑くんの手が私のお腹を撫で上げる。明らかに、そういう意図を持って。

「あ、あっ、だめっ」

「私を止めたいなら、それは逆効果だよ」

耳元で甘く囁いた唇がそのまま耳朶を食む。
肌の上を這い回る手の感触に、一気に熱が上がっていく。

「もうぬるぬるしてきたね。触られただけで感じてしまった?」

早くもぬめりを帯び始めたそこを指がなぞり、つぷりと中に侵入する。
親指の腹で陰核をこね回しながら、長い指をゆっくりと抜き差しされる。

「ひ、ん!」

「ふふ、相変わらず感じやすい身体だ」

くちくちと指で膣内を刺激されると同時にもう片方の手で胸を揉みしだかれるともう駄目だった。
びくびくと身体を跳ねさせて達してしまった私のうなじに傑くんが吸い付く。ちりっとした甘い痛みを感じ、そこに痕をつけられたことがわかった。

身体から力が抜けて、ぐったりと傑くんに凭れかかる。
あえかな呼吸を繰り返す唇を唇で塞がれて。
上の口は舌で、下の口は指で蹂躙されていく。

「愛しているよ」

絡みあった舌と舌が離れ、蜂蜜のように甘ったるい美声で傑くんが言った。
腰を持ち上げられ、ぱくぱくと物欲しそうに口を開けている場所に硬くて大きなものがあてがわれる。

「君は私のものだ。私の、私だけの」



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