「すっかり暖かくなりましたね」 「はい、ピクニック日和ですね」 森林公園の芝生の上にレジャーシートを広げ、赤屍さんと二人並んで座る。 今日の赤屍さんはシンプルなスプリングニットに、チノパンといった春らしい服装だった。 ランチボックスから取り出したパンケーキを重ねていく傍らで、赤屍さんが水筒から紅茶を注いでくれる。 「じゃーん!出来ました!」 出来上がったのは、ほんのりとバターミルクが香る、もちっとした食感の生地のパンケーキを10枚重ね、苺、パイナップル、バナナ、オレンジ、キウイの5種のフルーツをたっぷりと盛り付けたシンプルかつボリューミーな一皿だ。 そこに蜂蜜をかけていく。 「はい、赤屍さん。あーん」 あーんしてくれた赤屍さんの口元にパンケーキを運ぶ。 「どうですか?」 「とても美味しいですよ」 「えへへ……良かったぁ」 「聖羅さんもどうぞ。あーん」 「あーん」 「お味はいかがですか?」 「おいしー!熊さんになった気分です」 パンケーキはまだまだある。 でも、その前にフルーツも、と再び食べさせ合う。 お腹がいっぱいになったところで、私達はレジャーシートの上に寝転がった。 「苺が美味しい季節ですね」 「そうですね」 「今度、苺狩りに行きましょうか」 「わあ、行きます行きます!楽しみだなあ!」 でも、赤屍さんが狩りっていうと、ちょっと物騒な響きに聞こえる。 無限城では兎狩りをしたらしいし。 赤屍さんにぴったりくっつくと、小さく笑って抱き寄せてくれた。 「赤屍さんとピクニックが出来て幸せです」 「私もですよ」 「赤屍さんに捕まえられて良かった」 「おやおや、初めはあんなに怖がっていたのに」 「いまでも怖いけど、だって大好きになっちゃったんですもの」 感覚が麻痺してしまったのかもしれない。 こんな恐ろしい人を好きになるなんて。 「赤屍さんのせいですよ」 「もちろん責任はとりますよ」 「幸せにして下さいね」 「ええ、誰よりも幸せにしてみせます」 「毎日愛してるって言って下さいね」 「ええ、愛していますよ、聖羅さん」 うとうとしてきたら、赤屍さんがブランケットを掛けてくれたので、ちょっとお休み。 お昼寝をしたあとは鬼ごっこをして遊んだ。 赤屍さんが鬼の時は死ぬ気で逃げたけれど、やっぱり捕まってしまった。 それで、本当にもう逃げられないんだと思って怖くなったけど、赤屍さんが抱き締めてあやしてくれたので落ち着いた。 赤屍さん、大好き。 怖いけど。 |