冷たい空気が北から流れ込んできた影響で、今日は季節外れの肌寒い一日となった。 「このくらいの気温だと湯船に浸かるのが気持ち良いですね」 「そうですね」 温かいお風呂に浸かりながら、マッサージしてもらう幸せにひたる。 お湯のぬくもりとマッサージの効果で、寒さで強張っていた四肢から力が抜けていく。 「今日も一日お疲れさまでした。よく頑張りましたね」 「はい、頑張りましたあ」 いい子、いい子、と優しく頭を撫でられると、疲れが癒えていくようだった。 誰かに労ってもらえる、頑張りを認めてもらえるということは、こんなにも嬉しいものなのか。 今日は木曜日。 まだ明日一日頑張らなければならない。 でも、赤屍さんのお陰で何とか乗りきれそうだ。 「髪を洗ってあげましょう。目を閉じていて下さい」 「はーい」 湯船から出て素直に目を閉じると、ご褒美というように唇にキスを落とされた。 くすぐったさにクスクス笑う間にも、ちょうど良い温度のシャワーで丁寧に髪を濡らされていく。 続いてシャンプー。 ひやりとするシャンプーを髪の生え際や後頭部につけられ、指の腹を使ってこしこしと、優しく、しかし、適度な力を入れてしっかりと頭皮をマッサージするように洗われる。 これが堪らなく心地よい。 いつまでもこうしていたいと思っているところへ、再びシャワーの湯で洗い流される。 後頭部もたっぷりとお湯を含ませて、たぷたぷと。 (ふあぁ…気持ちいい) 思わず表情が蕩けてしまうが、仕方がない。 だって本当に気持ちいいのだ。 そうする内に泡を洗い流され、今度はトリートメントを髪の毛全体に塗りつけられる。 そして、頭皮のマッサージ。 「赤屍さぁん」 「…クス」 はいはい、とキスをしてくれる赤屍さんはさすがだ。 私がしてほしいことを何でもわかってくれる。 「流しますよ」 トリートメントを洗い流されて、タオルで髪の水分を拭かれる。 ヘアゴムで髪をまとめて、そのまま今度は身体を洗われた。 泡立てたスポンジで優しく丁寧に洗われて、これまた夢見心地になる。 「気持ちいいです…」 「そうですか。それは良かった」 本当に気持ち良かった。 シャワーで洗い流されるのが惜しいくらいに。 「さあ、もう一度ぬくもりましょうね」 抱き上げられて再び湯船に浸かる。 赤屍さんに身を委ねて目を閉じると、やわやわと身体をまさぐられた。 くすぐったさの中に潜む快感に、身をよじらせて吐息をつく。 「一回だけ、良いですか?」 「…一回だけなら」 もぞ、と身じろぎすると、今度こそはっきりとした目的を持って手指が動き出した。 暑さのせいではない汗がしっとりと肌に浮かび上がり、乱れた呼吸が湿った空気を揺らす。 「本当に可愛い方ですね、貴女は」 耳元で含み笑い。 本当に一回だけで終わるかな……。 |