おはようございます。 一週間もそろそろ終わりですが、大分疲労が溜まっているのではありませんか? よろしければ、今夜マッサージに伺いますよ。 もちろん、マッサージだけで済ませますのでご安心を。 何かご期待されているのなら、お応えしても構いませんが。 というのは冗談です。 ちゃんと癒して安眠させて差し上げますので、日付が変わるまでに是非ご連絡下さい。 色好いお返事をお待ちしておりますよ。 赤屍蔵人 ───── 「ここ、痛いですか?」 「はい、でももっと下の、はい。そこです。痛いー……」 「これは痛いでしょう。では、揉んでいきますね」 赤屍さんが指の腹を使ってぐいぐいほぐしてくれる。 さっきまで軽く触るだけでも痛かった肩が押されると気持ちいい。 親指で背骨にそって指圧、腰に降りて強めに押される。 「少し我慢して下さいね」 赤屍さんの声は穏やかで、聞いているだけで安心してしまう。 ぐぅーっと腰のつぼに入ってきてかなり痛い。 ぱっと離されると、ザァッと血が流れていった。 「横向きになれますか?」 「はい」 横向きに寝ると、手羽を脇からぐっと持ち上げて程よく押して、手首までほぐしてくれる。 次は首にタオルを当てて、くいくいと掴まれる。 頭にもタオルをかぶせ、首下のつぼから頭頂部にかけて小刻みに揉み上げてもらう。 頭ががくんがくん揺れてしまうけど終わればすごくすっきりするのでこの指圧が大好きだ。 肩から手首を何度もすいーっとゆっくり上下に撫でてもらえる。 この頃になるといつも眠気が襲ってくる。 赤屍さんは肩を重点的に押しはじめていた。 痛気持ちいい。 「肩を押しますよ。はい息を吸って、吐いて」 ぐーーっ。痛い! 「痛いでしょうがもう一度我慢して下さいね。さあ、息を吸って、吐いて…」 今度は腕を横によけて脇腹から背骨までを大きな手で包むようにつぼ押し。 赤屍さんの手が当たったところがじんわり温まっている。 やがて全身が温泉に浸かっているように感じるくらいぽかぽかしてきた。 もう片方の半身もじっくりと指圧してもらってから最後にうつ伏せになり、両手の平で背中をさすってもらう。 一番気持ちいいんだけど、これが終了の合図なのでちょっと名残惜しい。 「今日は足もやっておきましょう」 と思っていたら、続きがあった。 うつ伏せのまま、足の指を一本一本擦ってはぽんと音を立てて引き抜く。 そして、足の裏を拳でぐりぐりと。 「うう…」 痛いけど気持ちいい。 もはや眠気はピークに達していて、時々意識が途切れるようになっていた。 「眠ってしまって大丈夫ですよ」 「赤屍さぁん…」 「よしよし、良い子ですね」 優しく宥められ、日頃の疲れが溜まった足をマッサージされて、私はついに気を失うように眠りに落ちてしまった。 「お楽しみは、週末にとっておきましょう」 そんな赤屍さんの声が聞こえたような…。 気のせいじゃなかったら、週末はちょっと大変なことになりそうだ。 けれども、いまの私はそんな先の話を考えられるはずもなく、ようやく訪れた至福の時に、ただひたすら甘い眠りの中を漂っていた。 |