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「目を閉じていて下さい」

まずはポイントメイクから。
クレンジングオイルを染み込ませたコットンと綿棒を使って、手早く丁寧にアイメイクを落としていく。
同様に唇も拭き取った後は、手の平にクレンジングオイルを馴染ませてくるくると円を描くような動きで顔に塗られたファンデーションなどの諸々を落としていく。
肌の上を滑る赤屍さんの手つきはとても優しい。
なるべく肌に刺激を与えないようにしながらもしっかりとメイクを落としたら、ホットタオルでクレンジングオイルごと汚れを拭き取った。

顔がさっぱりとしたところで目を開けると、ちゅ、と唇に優しいキスが降ってくる。

「では、お風呂に入りましょうか」

うんと頷いた私を抱っこして脱衣所まで運んだ赤屍さんは、私の服を脱がして自分も手早く服を脱ぎ去ると、再び私を抱えて浴室へと入った。

シャワーの温度を手で確認してから温かい湯が身体にかけられる。心臓から遠い場所から順番に。
普段他人が触れることのない場所まで丁寧に手で洗い流される。

「髪から洗いますね」

シャワーでしっかり予洗いした後、シャンプーを手に取った赤屍さんによってカシカシシャカシャカと頭を洗われた。痒いところは少し強めにごしごしされ、自分でやる時は適当になりがちな首から後頭部にかけても手早く丁寧に洗われる。
シャワーで洗い流したら、トリートメントをつけられて、頭はそのままに今度は身体をボディソープで洗われてゆく。

指先から足先まで洗い残しのないように洗われて、シャワーで洗い流される。
トリートメントをつけた髪も優しく梳き流しながらシャワーで流していく。

「気持ちの悪いところはありませんか?」

うんと頷いた私を赤屍さんは抱っこして湯船に浸かった。
ちゃぷん、と水音を立てて身体が温かい湯の中に浸されていく。

頭を空っぽにして身を任せていられるこの時間が好きだ。
日々の鬱屈したあれこれを忘れて、ただ優しい手が与えてくれる心地よさに浸れるこの時間が堪らなく好きだった。

「綺麗さっぱり洗い流して、後はゆっくり眠りましょうね」

うんと頷いた私に赤屍さんがキスをする。
赤屍さんは問いただすことはしない。私がぽつりぽつりと話す言葉に耳を傾け、それから欲しかった言葉をかけてくれる。




ほう……と深く息をついて私はこの世で一番安心出来る腕の中でそっと目を閉じた。

この安らぎの時間があるから私は明日も生きていける。


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