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今年のクリスマスもぼっち確定なので思いきって独身者だけが集まるクリスマスパーティーに参加することにした。
それはちょっと変わったルールがあるパーティーで、マスクなどで素顔を隠して参加しなければならないらしい。
なので、以前姪っ子ちゃんに見せてウケたリアル系馬のマスクを被って行くことにしたのだが、同じリアル系ドーベルマンのマスクを被った人と仲良くなれたので会場でぼっちになることもなくパーティーを楽しむことが出来た。

ドーベルマンさんは紳士的で優しく、話していてとても楽しかった。こんなに気の合う男性は初めてだ。
しかも、なんとパーティーを抜け出してこれから二人で飲み直しませんかと誘われてしまった。人生初のお誘いである。

「外は寒いですから、しっかり暖かくして下さい」

「はい」

ドーベルマンさんにエスコートされてウッキウキで会場から出た私は、素顔を見られてやっぱりやめましょうと言われたらどうしようとドキドキハラハラしながらマスクを取った。
火照った顔に冷たい夜風があたって気持ちいい。

「やはり貴女は素顔のほうが可愛らしい」

そう言ってドーベルマンさんもマスクを取る。さらりとした黒髪が現れ、そして。

「──!?──っ!!」

声にならない悲鳴をあげてとっさに逃げ出そうとした私の腕をがっちり掴んだその人は、私がこの世で一番恐れている相手だった。

最強最悪の運び屋、赤屍蔵人。

「逃げ出そうとするなんて酷いじゃありませんか」

「赤屍さんが騙したりするからでしょう!酷い!」

「騙してなどいませんよ。会場では楽しくお話して下さったではありませんか。何がご不満なんです?」

「何もかもですよ!」

せっかく素敵な男性と知り合えたと思ったのに、こんなのあんまりだ。

「私は貴女の好みには合いませんか?」

「めちゃくちゃ好みど真ん中ですけど、殺人鬼はちょっと……」

「手足を斬り落としたり全身の神経を切断したりはしていますが、最近は殺してはいませんよ」

「ひえ……!」

普通に殺されるより酷いと思うのは私だけだろうか?残酷過ぎない?

「大切にします」

体温の低い手が私の手を包み込む。

「貴女だけを愛して、誰よりも大切にすると誓います。ですから、どうか私と結婚して下さい」

「あ……う……」

答えられずに固まっていると、赤屍さんは実力行使に出た。

「まずはお互いのことを知っていきましょう」

そう言ってひょいと私を担ぎ上げ、いつの間にか近くに停まっていたタクシーへと乗り込む。運転手は馬車さんだった。ミラー越しに申し訳なさそうな顔がちらりと見えたが、すぐに赤屍さんに口付けられてそんな余裕もなくなった。

「んー!んんー!!」

あ、だめだ。この人、上手すぎる。
初めこそじたばたと抵抗していたが、徐々に身体から力が抜けてゆき、やがてくったりと赤屍さんに身を預ける羽目になった。

「良い子ですね。そう、大人しくしていれば気持ちよくして差し上げますよ」

その言葉通り、赤屍さんはテクニシャンだった。処女の私でさえわかるほどに。

ベッドの上で散々イカされて鳴かされて。
お願いだからもう挿れて下さいとおねだりさせられた私は、悔しいけど完全に堕とされていた。経験のない処女が立ち向かうには、赤屍さんの手練手管が凄すぎたのだ。

「あっ、んふっ…っあぁんっ!あんっ」

「可愛い声ですね。もっと聞かせて下さい」

「ああっ!!…あっ、ぁやぁ!…ま、まっ…んんんっ…ぁん!……やぁ…っ」

赤屍さんが当然のように私のナカに膣内射精する頃には、私は中でイケるまでになっていた。

しくしく泣く私を優しく宥めすかしてお風呂で綺麗に洗ってくれた赤屍さんは、バスローブを着せた私をソファで水を飲んで休ませている間にドライヤーで髪を乾かし、手早くベッドメイキングをし直してからまた私をお姫様抱っこでベッドまで運んで寝かせてくれた。

「よしよし。良い子ですから泣き止んで下さい。そんなに泣いたら目が腫れてしまいますよ」

「うっうっ……」

ぽろぽろと零れ落ちる涙を拭ってくれる手は優しいが、彼は赤屍蔵人なのだ。いつ気が変わって殺されるかわからない。

「殺したりしませんよ」

私の心を読んだように赤屍さんが言った。

「ずっと大切にします。愛していますよ、聖羅さん。貴女はもう私のものだ。これからはずっと一緒にいましょうね。永遠に……ね」

「ぴ……!」

これが聖なる夜に私の身に起こった出来事の顛末である。
その後どうなったのかは、ご想像通りとしか言えない。


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