憂鬱なはずの月曜日が薔薇色に染まった。 朝、赤屍さんからメールが来て食事に誘われたのだ。 それはもちろん、月曜日と言えば色々と忙しくはあったが、赤屍さんに逢えるとなれば俄然やる気が出た。 定時より少し遅くなってしまったけど、赤屍さんに連絡するとすぐに迎えに来てくれた。 そのまま二人でディナーへ。 幸いにもオフィスカジュアルでもドレスコードに引っかからないお店だった。 「急にお呼び立てしてすみません」 「いえ、いいんです。私も赤屍さんに逢いたかったから」 「可愛いことを言って下さいますね」 クス、と笑った赤屍さんは今日はいつもより仕立ての良いスーツを着ている。 お店に入る前に渡された一輪の薔薇が美しく咲き誇っている。 何だか今日は特別な感じがして、食事の間中ドキドキが止まらなかった。 「聖羅さん」 「は、はい」 「私と結婚して頂けませんか」 「えっ」 「必ず幸せにすると約束します」 なんとなく予感はしていた。 でも、実際に言葉にされると胸がいっぱいになって、じわりと涙が滲み出てきた。 「嬉しい……私で良ければ、喜んで」 「貴女でなければ意味がない。私が愛しているのはこの世で貴女ただ一人なのですから」 左手を、と促されて手を差し出す。 ケースから取り出したプラチナのリングを薬指に嵌められて、涙がぽたぽたと流れ落ちた。それを優しく指で拭われる。 「夢みたい……」 「夢ではありませんよ」 そこからは、本当に夢のような時間だった。 ふわふわとした足取りのまま、赤屍さんに連れられてホテルの部屋へと向かう。 エレベーターの中で何度もキスをされたので、すっかりグロスが落ちてしまった。 「さあ、どうぞ」 赤屍さんに導かれて部屋に入ると、そこは一面薔薇の花で埋め尽くされていた。 呆然として動けない私を赤屍さんが抱き上げる。 運び込まれたお風呂の湯船にも薔薇の花びらが浮かんでいて、一体何本あるのだろうと喜びで痺れた頭の片隅で思った。 私の服を優しく脱がせながら赤屍さんが微笑む。 「999本の薔薇の意味はご存じですか?」 |