「おやおや、かわいそうに。随分酷いことになっていますね」

赤羽先生は私の足を一目見るなりそう言って、レントゲン室に行かされた。

「なるほど、駅の階段から落ちたと。幸い骨に異常はないようです。擦り傷と軽い打撲ですね」

カタカタとキーボードを打つ先生は、いかにもデキる外科医といった感じで素敵だ。

「消毒はしましたか?そうですか、念のためもう一度しておきましょう」

先生は薬で患部を洗い流すようにして怪我をした足を消毒してくれた。

「大丈夫、すぐに治りますよ。痕も残らないでしょう。お薬も出しておきますからね」

良かった。
先生曰く、酷いことになっている私の足はちゃんと元通りになるらしい。

「今日は午前中で終わりなので、車で送って差し上げますよ。少しだけ待っていて下さい」

「はぁい」

「いい子ですね。さあ、痛み止めですよ」

痛み止めと称してキスをした赤羽先生は、クスと小さく笑って私の頭を撫でた。

車で送ってくれると言ったが、私の家にとは言われていない。
きっと今日はこのまま先生の家に拉致されてお泊まりコースになるだろう。

主治医であり恋人でもある先生に、午後はたっぷり甘えようと思う。


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